第63話「“浪費”と“投資”──境界線を引く者たち」
デルシティ滞在2日目。
リベルたちは、街で開かれている“支出アート展示会”に足を運んだ。
そこには、購入履歴やレシートをキャンバスに貼り付けた“消費の記録”や、
高額ギルド服・アクセサリーの金色に輝く展示などが立ち並んでいた。
エルナ:「見てよ、これ。『使うことがステータス』って価値観が、もう作品になってる」
ハルク:「“金使いが派手なほどカッコいい”ってな。
……笑えねぇ」
そんな中、1枚の展示が目を引いた。
──タイトル:『再生』
古びた道具に補修の跡が施され、手入れされた姿と、
隣に置かれた「教育費・生活改善支出」の記録帳。
その前に立っていた初老の職人──ガルド。
ガルド:「使うことは、“価値を育てること”でもある。
この展示は、孫の未来のために“投資”した記録さ」
ティア:「……この人、使ってるんじゃなくて、“託してる”んだね」
リベル:「『浪費』と『投資』──違いは“目的”と“意志”だ」
ミーナ:「そして“見える化”してる。だから、人に伝わる」
その展示は、審査員特別賞を受賞していた。
エルナ:「リベルたちに出会ってなかったら、わたし、この展示見逃してたかも……」
リベル:「“使う”って、本当に奥深いな」
エルナは、《目的と感情の整え術》を覚えた!