第60話「最終査察と、逆転の証明書」
──ついに、最終査察日がやってきた。
ギルド本部から届いた最終通達は、
明らかに“潰し”を狙った条件だった。
『審査基準:3日間の収支バランス・社会的影響力・労働秩序への適合度』
『不適合の場合、運営停止および信用格剥奪』
『異議申し立て不可』
グレン=ノクスは、ギルド幹部を引き連れ、
カフェ・クラフトを包囲するようにして入店した。
その場には、街の住人、支援者、そして多くの“目撃者”が集まっていた。
ティア:「……まるで、裁判みたいだね」
ミーナ:「でも、これはもう“個人”の問題じゃない。“街”の未来の選択よ」
ギルド査察官が収支報告書に目を通す。
出資一覧、活動履歴、SNSでの拡散効果──
全てが、リベルたちの誠実さと工夫を物語っていた。
グレン:「──だが。君たちの“活動”は、街の労働意識に混乱を招いている。
“秩序”を乱す存在に、存続の価値はあるのか?」
キースが立ち上がる。
「オレが働いていた旧倉庫じゃ、“文句を言っただけで減給”だったんだ。
それでも、黙って働けって? オレたちが今やってることは──
“選ぶ自由”を広げてるだけなんだよ!」
そして──
リベルは最後に、静かに手紙を差し出した。
『この3日間、カフェ・クラフトがどれだけの希望を生んだか──
それを“証明”する手紙たちです。』
──カウンターの上に積まれたのは、街の人々の感謝の手紙。
救われた、変われた、夢を思い出せた──そんな言葉が並ぶ束だった。
【スキル発動:リベル】
《証明の光》が発動!
グレン:「……これは……“数字”では測れぬ力だというのか……」
沈黙が流れた後──ギルド幹部の1人が立ち上がった。
「我々の判断は……“継続を許可”。
ただし、ギルドの制度改善を進言とする。
シャチークラの在り方に、未来があるかどうかは──
市民が決めることだ」
──勝った。
ギルドは完全に折れたわけじゃない。
だが、それでも“支配の構造”に、ヒビを入れた。
【スキルLvアップ!】
リベル:稼ぐ力 Lv.1 ➜ Lv.2
リベル:「これで……街の“人生の選択肢”が一つ、増えたな」