第57話「密告制度の罠と、繋がる信頼の輪」
──“反撃の声明”が貼り出されてから数日。
副業支援の掲示板には、
街の住民たちから小さな声が届き始めていた。
「実は、内職でアクセ作ってるんですけど…バレたらクビで…」
「転職を考えてるんです。でも怖くて…」
「相談しても裏切られそうで……」
だが──その“恐れ”は、現実となる。
シャチークラの中心区、労働ギルド庁舎に新たな掲示が現れた。
『副業・転職行為の密告制度を導入』
『違反者には"労働信用格"の剥奪を』
『協力者には報酬支給』
ティア:「…最悪だ……仲間を“金”で裏切らせる気だよ…」
ミーナ:「この街、“選べない構造”が出来上がってる……!」
そのとき──
キースのもとに、一通の文書が届いた。
『貴店に対し、匿名密告がありました。
労働ギルドとの契約違反と判断し、補助金は停止。
事業継続には再審査が必要です。』
キース:「……やっぱり、ダメだったのかな……」
声は震えていた。
だが、彼はふと手元の“掲示板”を見た。
『キースさんの投稿に勇気をもらいました。
私も、今日からブログ始めてみます』
『カフェ、行きたいです。昔、夢だったんです。』
『キースの一歩、オレの背中押してくれた。ありがとう』
キース:「…オレ……独りじゃなかったんだな」
その夜。
リベルたちは再び、動き出した。
街の小さな起業者を支援する「フリーギルド」設立
契約外でも活動できる“独立認定証”の取得支援
相談者を守る“魔導通信匿名部屋”の整備
リベル:「“信用”は、奪えない。“信頼”は、壊せない。
密告制度なんかに、負けねぇよ。」
翌朝、再びキースのカフェに立った彼は、
堂々とメニュー表を出した。
「ようこそ、“信じ合う選択肢”へ」
【To be continued…】