第55話「奴隷契約ギルド、黒印の支配者《グラブ・ファーレン》」
──キースの副業が小さな成功を見せ始めたその頃。
街の北にそびえる黒い塔「勤属塔」にて、
ギルドマスター・グラブ・ファーレンが、鋭く舌打ちを放った。
「……また1人、“契約”を破ったか」
グラブは、シャチークラの“労働ギルド連盟”を支配する男。
その真の名は、奴隷契約ギルド《黒印》の支配者──
その手にある魔導印章は、
“契約した者の自由”を縛る呪いを帯びていた。
「この街は、街の為に働いてナンボなんだよ。自由?副業?甘えだな」
街の労働者たちは、その存在を“見て見ぬふり”していた。
誰もが、抜け出せない鎖に慣れていた。
──だがその時。
グラブの部下が報告に駆け込んだ。
「報告です!“副業の芽”が広がっています!
あの《クラフトの小屋》から、客足が伸び始め──」
「潰せ」
グラブは静かに、そう告げた。
一方その頃──
キースのカフェには、あからさまな“嫌がらせ”が続いていた。
出入りの業者が契約解除
税務検査を受ける
地元掲示板に「偽情報」の書き込み
近隣の職人からの無言の圧力
ティア:「これはもう偶然じゃないね」
ハルク:「完全にギルドの仕業だな……!」
ミーナ:「でも、あの“黒印”のギルドに正面からケンカ売るなんて──」
リベル:「いや、“正面から”じゃなくていい。“仕組み”で返すんだ」
リベルたちは作戦を立てた。
情報拡散ギルド「フリーネット」で、“契約の実態”を共有
魔導ブロガーたちと協力して“副業成功体験”を可視化
相談窓口を設置し、抜け出し方を無料公開
そして──
シャチークラの一角に、白い看板が立てられた。
『人生の選択肢、ここにあります。
副業・転職・起業…何でも相談OK。』
リベル:「オレは……この街の人たちに、
“人生を取り戻す”道があるって、証明したいんだ」
【To be continued…】