第54話「副業を始めた青年、キースの覚悟」
──シャチークラの東通り、
かつて“職人の栄光街”と呼ばれた通りには、
今や、疲弊した労働者たちが無言で行き交っていた。
リベルたちは、あの若者の元を再び訪れていた。
──名は、キース・ローナ。
古道具カフェ「カフェ・クラフト」を細々と営みながら、
昼間は倉庫業、夜は内職、隙間時間に副業という暮らし。
ティア:「キースさん、昨日より顔色が……」
キース:「ああ、寝てないからな。でも……やめられないんだ」
彼の目は疲れているのに、どこか強かった。
キース:「オレさ……ずっと誰かの指示で働いてきた。
でも、このカフェだけは、オレが決めて、オレが動いてる。
だからこそ、やめたくないんだよ──自分を諦めたくない」
その言葉に、リベルは静かにうなずいた。
リベル:「オレも昔、ブラック企業で倒れた。
時間も、身体も、夢も吸い尽くされて……
だけど、“稼ぐ”ことは、誰かの命令を聞くことじゃないんだよな」
ミーナ:「“自分の人生を選べる手段”──
それが、本当の意味での『稼ぐ力』よ」
ハルク:「けど、その道は簡単じゃねぇ。
仕組み、売り方、信用、全部ゼロからだ。覚悟、あんのか?」
キースは、ふっと笑った。
「あるさ。オレ、もう“他人の人生”は歩きたくねぇんだ」
その夜、リベルたちは彼に協力を申し出た。
情報発信を始めるための「魔導通信設定」
古道具をECギルドに出品するサポート
タイムスケジュールの最適化
生活防衛資金の確保計画
リベル:「まずは“生活の6ヶ月分”を守るんだ。
それがあれば、いつでも自分の選択肢を守れる」
【スキル習得:】
《稼ぐ力 Lv.1》を獲得!
そして数日後──
カフェ・クラフトには、初めての「客」がやってきた。
「このマグカップ……父が昔使ってたのにそっくりだ」
キースは、ゆっくりと笑った。
「いらっしゃい。今日が、オレの“自由の第一歩”です」
※次回予告※
街の裏でうごめく“奴隷契約ギルド”の闇──
「抜け出せない働き方」を仕組んだ張本人が現れる!?
【To be continued…】