第53話 新章「シャチークラの街、仕事に追われる者たち」
──ここは、シャチークラ。
古くから“職人と商人の街”として知られる、大都市である。
だが──
今ではその活気の裏に、“慢性的なブラック労働”が蔓延していた。
「やっと終わった……明日も朝早いんだよな……」
「休み? 何それ、食えるの?」
「転職なんて無理だよ……学もスキルもないしさ……」
街には活気ではなく、
疲れと諦めの空気が漂っていた。
リベル・アーツ一行は、
この街の“自由を失った空気”を感じ取っていた。
ティア:「リベル、この街……なんか変だよ」
リベル:「ああ……"働いてる"んじゃなくて、"働かされてる"空気があるな」
ハルク:「さっき仕立屋のじいちゃんが、“休んだら罰金”って言ってたぜ……マジかよ」
街の中心にある「労働塔」──
そこに掲げられた標語が、事態の深刻さを物語っていた。
『働け。従え。安定こそ幸福』
ミーナ:「この感じ……誰かが“そういう価値観”を押し付けてるのかも」
リベル:「つまり、“稼ぐ自由”がこの街では封じられてるってことか」
その時──
通りの隅で、小さなカフェを営む若者が倒れそうになりながら、
必死で一枚のフライヤーを配っていた。
「副業で……カフェと服の販売を始めて……みんなの未来を……変えたくて……」
リベルはその姿を見て、そっとそのビラを受け取った。
『好きなことで稼ぐ。誰でもできる、新しい選択肢。』
リベルは言う。
「よし、最初の一歩だ」
「この街で、“稼ぐってこと”の意味を、オレたちが示してやろうぜ」
【To be continued…】




