第50話「塔の崩壊、希望の構築──市民たちの選択」
──リッチナーン中央広場。
“フルドリーム・タワー”、崩壊。
街の上空に、粉々になった契約書が舞う。
幻の光が消え、夜空には“静けさ”だけが広がっていた。
「……うそだろ……」
「全部、ウソだったのか……?」
「どうすりゃいいんだよ……何も残ってねえよ……!」
街は、絶望に沈みかけていた。
ポンジは姿を消し、配当も、特典も、全てが“霧散”。
リベルたちは、崩れた塔の跡地に立ち、
静かに、そして力強く言った。
「皆さん、聞いてください」
「ここから先、誰かが“救って”くれることはありません」
「でも──自分で“積み上げて”いくことはできます。」
魔導板に、再びあの地味な図が表示された。
・月100ルル×30年の積立
・世界分散型投資
・ポンジ 年平均利回り:5〜7%
→ 将来的な不労所得へ繋がる“資産の根”
「“魔法の塔”は崩れました」
「でも、“仕組みの種”は今からでも蒔けます」
「地味で時間がかかる。
けど、“本当の自由”はその先にあります」
市民の間で、誰かが言った。
「……騙された自分が情けないって思ってた」
「でも……オレ、もう一度“自分で始めてみる”よ」
「私も……少しずつでいい。
“育てる”って生き方、選んでみたい」
人々の手が、少しずつリベルたちの配布する
「自由の設計図(積立セット)」へと伸びていった。
そして──
街中に、“新しい塔”が立った。
それは光り輝くものではなく、
一本の“木”だった。
「仕組みの種を育てよう」
「毎月100ルルから始められる」
「目指せ、配当と安心のある暮らし──“自由の森”プロジェクト始動!」
バフェット・ウォーレンの言葉が静かに蘇る。
「幻想が散っても、土は残る」
「そこで育てれば、いずれ“森”になる」
ティアが、涙ぐみながらつぶやいた。
「……これが、本当に“自由”を手に入れる一歩なんだな……」
ハルク:「オレたちの戦い……無駄じゃなかった」
ミーナ:「リベル、あなたの信じた“地味な魔法”が、街を変えたのよ」
リベルは、空を見上げながら言った。
「──ポンジ。オレはお前の夢を否定しない」
「でも、オレたちは**“続けられる希望”を選んだんだ**」
街に、新しい風が吹いていた。
それは静かだけど、力強い風──
自由という名の、風だった。
【To be continued...】