第49話「決断の刻──幻想の塔、静かに崩れはじめる」
──数日後、リッチナーン都市。
バフェット・ウォーレンが去ったあと、
リベルたちは「仕組み可視化プロジェクト」を加速させていた。
街の各所に設置された“配当可視化魔導板”には、
各投資の“原資・仕組み・継続性”が数値で表示される。
○仕組み投資(リベル式)
→ 毎月定額・配当成長率+3%/構成:国際魔導市場連動
●ポンジ式(フルドリームプランα)
→ 原資不明・新規契約依存・報酬上限“システム未公開”
ミーナが言う。
「どれだけ上手く飾っても、“構造の違い”は明らかよ」
その日、ついに事態が動いた。
“塔の配当が止まった”という噂が、街を駆け巡った。
「え!?昨日まで毎日届いてた魔導配当が……ない!?」
「問い合わせもつながらないって……なにそれ……」
「ポンジさん、どうしたの……?」
都市中がざわつき始めた頃──
リベルたちは、
シュウトとティアが仕掛けた“内部調査作戦”の報告を受けていた。
「内部、見てきた……」
シュウトが言う。
「やっぱり……ポンジの塔の配当、全部“新規契約の金”から出してたんだ」
ティアが続ける。
「つまり、“金が入らなきゃ支払えない構造”──完全なポンジスキームだよ」
リベルは静かに目を閉じ、
そして──ゆっくりと、広場の中央に立った。
「皆さん、聞いてください」
「ポンジの塔は、“配当を出す仕組み”を持っていません」
「新しく人が契約しないと、今の人に支払えない──」
「つまりそれは、投資ではなく、“時間差で崩れる罠”です!!」
観衆がざわつく。
「うそ……」
「私、全部入れちゃったのに……」
「でも、契約書には……書いてなかった……!」
その時、塔の上に姿を現したのは──
ラビット・ポンジだった。
彼は、笑っていた。
「……なるほど。とうとうバレてしまったか」
「でもね、みなさん」
「私は、夢を売った。それだけです」
「仕組み? 未来? 自由?
そんな地味な話、誰も望んじゃいなかった」
「みんな、派手で、一発で、簡単に、変わりたかった」
「だから私は、それを提供しただけだ」
リベルが叫ぶ。
「じゃあ、あなたはこの都市を、最初から“捨てるつもり”で使ったのか!!」
ポンジはにこりと笑った。
「夢は、消えるから美しいのさ」
──その瞬間、空が揺れた。
“フルドリームタワー”が、
ゆっくりと──崩れ始めた。
【To be continued...】