第46話「希望の芽、再び揺れる──ポンジの切り札、ついに解禁!」
──リッチナーン都市、午後。
自由の風がようやく吹き始めたはずの街に、
再び重たい空気が落ちた。
中央広場の魔導スクリーンに、突如表示された新しいプラン。
『新魔導契約【フルドリームプラン・α】始動』
『ステーキング+紹介+特典リボン+“毎日もらえる魔導石”』
『しかも今だけ!あなたの推薦で“ドリームランク”も上昇!』
──でも、それだけじゃない。
今回、ポンジが打った最大の切り札は──
なんと…リベルたちの“過去の支援者たち”の転向発表だった。
画面に映し出されたのは──
かつて講義に参加し、仕組みを学んだはずの人々。
「地味に増やすのも悪くなかったけど、
フルドリームなら、もう“仕組み”なんて要らないって思った」
「こんなに得られるなら、多少のリスクも……いいよね?」
──その映像に、広場がざわつく。
ティアが叫ぶ。
「嘘だろ……? あの人たち、
仕組みの話に涙流してたのに……!?」
ミーナが歯を食いしばる。
「ポンジ……“心”ごと奪いにきたのね……」
リベルの拳が震える。
シュウトは魔導紙を握りつぶしていた。
「オレたち、また……負けるのか……?」
その時だった。
魔導スクリーンに、ポンジが再び現れる。
「リベルくん。君のやっていることは立派だ。正しい」
「でもね──
人は正しさより、救われた“気分”を選ぶ」
「配当? 分散? 増配?
そんな数字を積み上げるより──
“今すぐ豊かになれる夢”の方が、ずっと温かいんだよ」
観衆が、再びポンジの言葉に飲まれていく。
リベルは言葉が出なかった。
あれほど努力したのに、
信じてくれた人たちすら、揺らいでいる。
そのとき──
広場の中央にひとりの老婆が立ち上がった。
「……夢なんて、あたしもたくさん見たわ」
「でもね、“現実の中で咲いた夢”の方が──
ずっと、あったかいのよ」
それは、かつて配当で娘にプレゼントを買ったという女性だった。
「私は、リベルくんを信じる」
「夢に依存するのはもうやめたい。
“育てる豊かさ”の中で生きていきたいのよ」
その言葉に、また少し──空気が変わる。
でも、ポンジの攻撃は止まらない。
『次なる特典:全都市加盟投資証明書、配布開始!』
『もはや、これは投資ではない──“国策”です』
リベルたちは再び、
自由をかけた選択の分かれ道に立たされていた。
【To be continued...】