第5話「無駄を暴け!〜貯める力、覚醒〜」
──バサバサと、目の前に積み上げられた契約書の山。
「これを、全部……?」
俺は、思わず呻いた。
だが、バリ師匠は涼しい顔で言った。
「自由を得たいなら、逃げるな。
"知らない"ことは、"支配される"ことだぞ」
その言葉に、俺は腹をくくった。
一枚一枚、契約書をめくる。
そこには、
びっしりと並ぶ、専門用語と魔法契約条項。
素人にはまず理解できないような難解な文章。
(これじゃあ、普通の村人たちは何もわからない……!)
その時──
キィィン……!
耳の奥に、微かな音が鳴った。
【スキル:貯める力 Lv1 発動】
脳内に、契約書の"無駄ポイント"が、光って浮かび上がった!
(これは……!)
俺は直感的に、重要部分と、搾取部分を仕分けられるようになった。
最初に目についたのは──
●不要なオプション①:「幸運増幅保険」
月5銀貨。
効果:「災難を減らし、運勢を少しだけアップする」──効果未証明。
しかも、途中解約には違約金20銀貨発生。
(誰も幸運になってないじゃねぇか!!!)
●不要なオプション②:「魔力補填サービス」
村人全員に「タブ石」の魔力補充権を契約。
実際には月に一度も使わないのに、固定月額10銀貨徴収。
(使ってないのに払い続けてる!!)
● 契約罠:「更新自動延長魔法」
1年ごとに自動更新。
更新のたびに、料金が微妙に値上げされていく暗黙の条項。
(こんな巧妙な罠まで……!)
俺は、次々と無駄を見抜いていった。
バリ師匠は、空中でワイングラスをくるくる回しながら、ニヤリと笑っている。
「見えてきたか、若者よ?」
「……はい」
俺は、顔を上げた。
「この村は──
"必要のない支出"に、人生を蝕まれてる!!」
バリ師匠は満足げに頷いた。
「よく見抜いた。だが、気をつけろ」
師匠は指を一本立てた。
「"無駄"に気づいても、"行動"できるかどうかは別だ」
「村人たち自身が、自らの鎖に気づき、断ち切る覚悟を持たねばならん」
俺は、拳を握った。
(俺が──
この村に、自由の第一歩を示してみせる!!)
よし、次は──
村人たちに、この"無駄な固定費"の存在を知らせ、"気づかせる"ための作戦だ!!!
俺の、初めての"自由への戦い"が、今、始まる──!
【To be continued...】