第45話「再起の狼煙──仕組みでつなぐ、未来の証明」
──リッチナーン都市・翌朝。
あの夜の興奮から一夜明け、
都市には、かすかな変化の兆しが見え始めていた。
「ねぇ、昨日の配当……なんか減ってない?」
「ドリームラダーの“配当予定表”、変更されてる……?」
「もしかして、これ……ポンジさんの話、全部信じていいのかな……?」
それは小さなささやき。
でもその“疑念”こそが、
リベルたちの最大の武器になっていた。
リベルたちはすぐに動いた。
──街角に**“仕組みで育つ自由”ブースを設置。
──魔導紙で作った「地に足ついた資産の地図」**を配布。
──そして、配当を受け取っている人々が、
その“使い道”を記したメッセージカードを広場に貼り出していく。
「オレは、配当で初めて“家賃の一部”を払えた」
「私は、積み立て3年目で“子供の学費”を補えた」
「私は、初めて“未来の計画”が立てられた」
シュウトが笑顔で言った。
「派手じゃないけど、こういうのが“自由の種”なんだよな」
バリ師匠は、黄金の魔導スタンドに登って語りかける。
「配当の額は小さいかもしれへん。
せやけどな──“安心して眠れる夜”の価値は、計算できへんのや」
「夢ばっかり見てたら、足元の床が抜けるで」
ティアが子どもたちに、積立ゲームを教えていた。
ハルクは若者に“リスク分散の筋トレ講座”をやっていた。
ミーナは高配当レシピの無料配布。
“配当ごはん”で大行列。
人々の笑顔が、ゆっくりと戻ってくる。
「……仕組みって、安心感あるね」
「夢より、“安定した明日”のほうが、今は欲しいかも……」
その様子を、ステージの上から
ポンジは静かに見下ろしていた。
目は笑っていない。
「なるほど。これは──“仕組みの希望”か」
「やはり君たち……なかなか面白いね、リベル・アーツくん」
そう呟くポンジの背後には──
新たな“最終手段”が、静かに準備されていた。
でも今はまだ──
街の人々の心に、確かに“再起の炎”が灯っていた。
それは“幻想”よりもずっと地味で、
だけど、“強くて優しい”光だった。
リベルが静かに旗を掲げる。
「仕組みは、自由の根っこだ。
それを信じる限り、オレたちは負けない」
【To be continued...】