第44話「幻想か、現実か──運命を分ける一夜」
──その夜、リッチナーンの空は紫に染まっていた。
街の中央塔には巨大なスクリーンが浮かび、
ラビット・ポンジがステージの上に立っていた。
「さぁ、今こそ最後の“夢”へと、跳ね上がりましょう!!」
「月利12%──“プラチナ・ドリーム・ラダー”最終解禁です!!✨✨✨」
空には金の花火。
道には配当コインの雨。
幻想が、この街のすべてを覆い尽くそうとしていた。
リベルたちの講義スペースには、
誰一人として来なかった。
静まり返った空間。
ゆれる自由の旗。
「……終わったかもしれないな」
ティオが、ぽつりと呟く。
だがその時。
風が変わった。
まるで空間が裂けたような閃光が夜空を走り──
──雷鳴一閃!!
ズバァァァァン!!!⚡️⚡️⚡️
空から黄金の馬車が降臨!!!
車輪は宝石、扉は金、屋根には謎の“自由の風見鶏”!!!
舞い散る札束風の魔導紙が宙を舞い、
輝くサングラス姿の男がゆっくりと降り立った。
「──あかん。あまりにも安っぽい夢が街を染めとる」
「こらワシが出て行かんと、自由が絶滅してまうわ!!」
そう。
伝説の自由人にして最強の旅富豪──
バリ・モルディブデ・ザイアール、爆誕である!!!!
観客のどよめき。
「……誰!?金ピカのじいさん……?」
「いや、あれ……もしかして……バリ師匠!?」
「え!?本物!?うっそぉ!!?」
ポンジが眉をひそめ、マイクを握り直す。
「……また君か。自由ごっこのおじさん」
「いいかい、バリ・モルディブデ・ザイアール、人はね、“楽して稼ぎたい”んだよ」
「それを正義にしなきゃ、だれも君に耳を貸さない」
バリ師匠は、静かに言い返した。
「せやな。たしかに人はラクが好きや」
「けどな──
自由ってのは、誰かからもらうもんやないんや。
自分で“選び取る”もんやろがい!!!!!!!」
ズドォォォォォン!!
魔導旗に“真実の言葉”が刻まれる!
『自由は、知識と仕組みと覚悟から生まれる。』
バリ師匠、手を掲げる!!
「ワシはな、若い頃にモルディブデの砂漠で配当詐欺に騙されて、
服一枚になってラクダと歩いて帰った男や!!!」
「そっから学んだんや──
ラクして得た金より、コツコツ積んだ信用が最強やってなァ!!!」
観客、完全にざわめく!!
「ウソ……“伝説の自由富豪”ってほんとに存在したの!?」
「なんで金持ちなのに、地道な話してんの……??」
「……こっちの方が、信用できるかも……」
ポンジの表情が、一瞬揺れる。
だがすぐに、冷笑を浮かべる。
「……また、地味で正しいだけの話か」
「君たちの仕組みで、どれだけの人を“夢から覚ませる”かな……?」
リベルが一歩、前に出る。
「もう逃げない。オレたちは──希望を守るために戦うんだ!!」
「仕組みは、オレたちの“未来をつなぐ魔法”だ!!」
ミーナ、ティア、ハルク、シュウト、そして広場の人々。
「オレたち、リベルについていくよ!」
「配当で買った初めての自転車、まだ忘れられない」
「自由を知って初めて、“働く”が怖くなくなったんだ!!」
リベルが、空に拳を突き上げた!!
「さあ──ここから反撃だ!!
“夢の押し売り”は、もう終わりだ!!!!」
【To be continued…】