第41話「幻想か、現実か──運命を分ける一夜」
──都市リッチナーン、幻想の夜。
中央広場は再び、“夢の祭典”に包まれていた。
輝く光。踊る音楽。
そしてステージの上、華麗に立つ一人の男。
「みなさま〜〜〜〜!!!!!」
「あなたの夢、戻ってきましたよォォォ!!!!✨✨✨✨」
ラビット・ポンジ、完全復活。
「リスク?あります!
でも、それが人生じゃありませんか!?」
「やりたいことを“今”やれるのが、本当の自由ですッ!!!」
「さあ、次なる夢は──“月利12%パワーモード”ッ!!!!」
群衆、熱狂。
幻惑されるように、都市は再び“幻想の光”に包まれていく──
リベルたちは、呆然とその光景を見ていた。
シュウトが唇を噛む。
「また……戻っちまった……!」
「くそ……地道じゃ、間に合わないのか……?」
ティアが拳を握りしめた。
その時だった。
空が、バシュウッと音を立てて裂けた。
──どこからともなく現れた、
背広を着た異様な存在。
だが、圧倒的な“自由の気配”をまとっていた。
「──あかんわ、あかんわぁぁ……!
夢見させるのはええけどなぁ……
これはもう、自由の皮をかぶった牢屋やないかい!!」
振り返るリベル。
目を見開いたミーナ。
シュウトはその姿を見て、思わず叫ぶ。
「バリ師匠……!!」
バリ・モルディブデ・ザイアール、神出鬼没の旅の富豪。
全身、南風のような余裕に包まれた、伝説の男が今──
ふたたびこの物語に帰ってきた。
「ポンジくん、アンタ、
“夢は早く叶えたほうが幸せ”言うたけどな?」
「ほな聞くけど、それ叶えたあと、なにすんの?」
「ほんまに大事なんはな、
“叶え続けられる仕組み”を作ることやで」
「自由ってのはな、短距離走ちゃう。マラソンや。
ほんまに欲しいんは、“続けられる豊かさ”やろ?」
観客が、ざわめいた。
「……たしかに……」
「今だけもらえても、ずっともらえるわけじゃない……?」
「リベルくん」
バリ師匠がリベルに向き直った。
「この都市、まだ終わってへんで。
アンタらが今まで蒔いた“仕組みのタネ”、
ようやく根を張りはじめとる」
「そろそろ、“花”咲かせに行こか?」
リベルの目が、再び強く燃え上がる。
「……ありがとう、師匠」
「今度こそ、幻想を超える“本当の夢”を見せてやる」
その夜、幻想と現実は並び立ち、
人々の心の中で静かに、選択の分かれ道が生まれ始めていた。
【To be continued...】