第38話「偽りの夢、再び──モラウサギ商会の逆襲」
──その朝。
リッチナーン都市の空に、再び巨大な魔導スクリーンが浮かんだ。
「みなさまに、お知らせです。
本日より、モラウサギ商会は“夢の再始動”を宣言します!」
映像に映ったのは、スーツに身を包み、
以前とは比べ物にならないほど洗練された──
ラビット・ポンジの姿だった。
以前の軽快さはそのままに、
そこに“圧倒的な威厳”と“優しさ”が加わっていた。
「最近、“投資は地味でなければならない”なんて声が聞こえてきます」
「ですが、私は思うのです。
人が夢を追い、楽を求めることは、悪でしょうか?」
群衆がざわつく。
「私たちは、そんな“心”まで捨てろと言われているのですか?」
「働け。積み立てろ。節約しろ──
まるで“人生の楽しみ”すら奪われるような考えが、今、広がっています」
「私たちは違います。
夢を肯定します。あなたの願いを、笑いません。」
「月利10%──それは、非現実ではなく、
“可能性への挑戦”なのです」
ティオが魔導端末を見ながら息を呑んだ。
「やべぇ……今の言い方、なんか心に刺さる……」
ミーナも顔をしかめる。
「ポンジ……“言葉選び”があまりにも巧妙すぎる……!」
シュウトが震えた声で言った。
「……俺もあの言葉に救われた気がした。
だから、全部差し出しちまった……」
その夜、ポンジは裏側の部屋で静かに魔導端末を見つめていた。
「リベル・アーツ……
君は“正しすぎる”んだ」
「だが、正しさだけで人は動かない。
動くのは、いつだって“希望”だよ」
「私は、“現実”を利用して“幻想”を売る。
そして人は、自らそれを望むようになる」
ポンジの目が、静かに光る。
「さあ、次の罠を始めよう。」
──次の日。
リッチナーン中に新しいサービスが発表される。
『魔導ドリーム・ステッププラン』
『最初は月利3%から、紹介に応じて徐々にUP!』
『配当も商品券も現物も選べる夢のような自由設計型ファンド!』
ミーナが驚愕する。
「分かってきた……
**今度は“合法っぽく見せかけた構造”**で、包み隠してきた!!」
リベルは、拳を握りしめて言った。
「ポンジは進化した。
もう、昔の“騙し”だけじゃない──」
「善意を装った幻想こそ、
今度の最大の敵だ」
「でも、オレたちも進化してる」
「次は、“知識”だけじゃなく、
“本物の実例”で反撃する!!」
【To be continued...】