特別エピローグ「マネヘル村、改め──マネフエル村へ!」
ーーーあれから数ヶ月
マネヘル村の景色は、
かつてとはまるで別のものになっていた。
広場には、
村人たちの笑顔があふれ、
子供たちの笑い声が絶えなかった。
農作物は豊かに実り、
村人たちはそれぞれ、自分たちで選び取った暮らしを楽しんでいた。
ティオは、
修理屋として村一番の信頼を得ていた。
ミーナは、
自家製ハーブカフェを拡張し、観光客も訪れるようになった。
ハルクは、
地域の若者たちに貯蓄と家計管理を教える"自由教室"を開いていた。
(──すごいな)
──数ヶ月後。
かつて“お金の減る村”と呼ばれていたマネヘル村の景色は、
今やまるで別世界になっていた。
広場には活気が満ち、
笑顔が溢れ、子供たちの笑い声が響いていた。
農作物は豊かに実り、
村人たちは自分たちで選び取った暮らしを楽しんでいた。
ある朝。
村の中央広場に、リベル・アーツが呼び出された。
そこにいたのは、村の長老たちと住民代表たち。
「リベルさん──」
「あなたに、この村の“長”になってほしいんです」
「えっ……オレが……?」
リベルは目を丸くした。
ミーナもティアもハルクも驚いたが、
誰よりも驚いていたのは本人だった。
「この村をここまで導いてくれたのは、あなたです」
「貯める力等、自由になるための仕組みを教えてくれた」
「だからこそ、これからも、リベルさんに見守ってほしいんです」
リベルは、静かに言葉を選んだ。
「ありがとう。……本当にうれしいよ」
「でも、まだオレにはやることがある」
「この村だけじゃない。まだ自由を知らない人たちがたくさんいる。」
「だからオレは、旅を続けたいんだ」
少しの沈黙のあと──
村人たちが、ぽつりぽつりと口を開いた。
「リベルさんが旅をするなら、オレたちはこの村を守ります」
「ちゃんと“自由を掴む仕組み”を作ってもらったんですから」
「……だから、安心して行ってください!」
そして村長が力強く宣言した。
「この村は、もう“減る”場所じゃない」
「これからは、自分たちの力で、お金に縛られず富にあふれる自由に暮らす村を目指します!」
「よって──
今日からこの村は、マネフエル村と名を改める!」
広場には、笑顔と歓声があふれた。
「やったー!」「オレたちも誰かの力になりたい!」
「今度は、オレたちが“自由の火”を灯す番だ!!」
リベルは、胸の奥が熱くなるのを感じながら──
静かにうなずいた。
「──オレが長になるより、よっぽど頼もしいじゃんか」
「ありがとう。ほんとに……ありがとう」
そして、別れの日。
村の門の前に村人たちが集まった。
ミーナが馬車の荷物を整え、
ティアが地図を確認し、
ハルクが背伸びをして拳を握る。
村人たちが口々に言った。
「気をつけて!」
「またいつか帰ってきて!」
「あなたたちは、マネフエル村の誇りだよ!」
最後にリベルが、振り返って言った。
「大丈夫。
オレたちの旅は続くけど、ここで生まれた自由は──
きっと、もっと広がっていく」
そして──
リベル・アーツ一行は、旅立った。
かつて"減り続ける村"だったマネヘル村は、
自由と知恵を武器に、
"豊かさが増える村"──マネフエル村へと生まれ変わった。
そして彼らは、次なる地へ。
まだ見ぬ誰かの“自由”の火を灯すために。
【To be continued...】