第23話「小さな成功の花が咲く──自由の連鎖」
──数日後。
ホケマクリ村には、
少しずつ、確かに"変化"が訪れていた。
小さな、小さな変化だ。
けれど、
それは確かに、希望の花だった。
最初に変わったのは、
デュオの母さんだった。
「……こんなに保険、いらなかったんだね」
彼女は、
何重にもかけられていた保険を見直し、
必要最低限の補償だけを残して、
月々の負担を半分以下に減らした。
その結果──
「久しぶりに、家族でご飯を食べに行けたんだよ」
笑顔で話す彼女の目には、
涙がにじんでいた。
(──これだ)
俺は、胸の奥が熱くなるのを感じた。
続いて、
農夫のカイル。
彼は、
不要な保険を整理したおかげで、
農機具を新調するための資金を確保できた。
「やっと、自分の畑で勝負できる!」
カイルは、
泥だらけになりながらも、
嬉しそうに笑っていた。
(そうだ──これが、本当の"安心"なんだ)
そして、
デュオ本人も。
彼は、
保険地獄から抜け出したことで、
自由に使えるお金ができた。
それを使って、
小さな農具修理屋を始めたのだ。
「オレ、
自由に生きたいって、
ずっと思ってたんだ」
デュオは、眩しい笑顔でそう言った。
小さな、小さな成功たち。
でも、
それは確かに──
自由への連鎖
だった。
夜。
広場に集まった仲間たちは、
ささやかな"成功パーティ"を開いた。
パンとスープを囲みながら、
笑い合う村人たち。
誰も、
鎖には繋がれていなかった。
誰も、
無理に笑っていなかった。
(──これだ)
これが、
リベル・アーツが目指していた、
本当の自由の姿だった。
遠くから、
また金色の風が吹いた。
バリ師匠の気配が、
ふわりと感じられた。
「自由とはな……
一人じゃつかめない。
みんなで育てていくもんだ」
師匠の声が、
静かに夜空に溶けていった。
(──でも、
俺たちの戦いは、まだ終わらない)
ホケヤ支部長たちは、
次なる一手を準備している。
最終決戦は、
すぐそこまで迫っていた。
でも俺たちは、
もう、負けない。
自由の花は、
もう、この村に咲き始めているのだから。
【To be continued...】