第22話「裏切り者の影──試される信頼」
──数日後。
リベル・アーツたちの作戦は、
着実にホケマクリ村に変化をもたらしていた。
無駄な保険契約を解約する村人が増え、
少しずつ「自分の未来は自分で守る」という意識が広がり始めていた。
(──いい流れだ)
広場を見渡しながら、
俺は小さく頷いた。
しかし──
その裏で、
静かに"影"は動き始めていた。
夜。
希望の家(作戦拠点)で、
俺たちは次の作戦会議を開いていた。
「次は、村役場の連中を説得するぞ!」
ハルクが拳を握る。
「みんなで力を合わせれば、絶対にギルドを追い出せるよ!」
ミーナも笑顔で頷く。
その時だった。
バタン!!
扉が乱暴に開かれた。
駆け込んできたのは、その子の名はデュオ──
俺達が村に入ってからずっと行動を見ていて
心を動かされたらし。
デュオは、小声で勇気を振り絞るように口を開いた。
「皆さん!!
──作戦、ギルドにバレてます!!」
俺たちの空気が、一瞬で凍りついた。
事情を聞くと、
なんと、作戦会議で話した内容が、
そのままギルド側に漏れていたという。
「そんな……誰が……?」
ミーナが震える声で呟く。
ハルクも、顔を青ざめさせる。
「まさか……この中に裏切り者がいるのか!?」
俺は、静かに周囲を見渡した。
皆、不安そうな顔をしている。
(……このままだと、
村の絆が壊れてしまう)
その時だった。
おずおずと、
ひとりの青年が手を挙げた。
名は、レオン。
かつて、家族を守るために必死に働いていた青年だ。
レオンは、
苦しそうに、涙を滲ませながら言った。
「……俺だ」
「ギルドに脅されたんだ……
"家族に被害が及ぶ"って……」
「怖くて……
どうしても、逆らえなかった……」
その場に、重い沈黙が落ちた。
ハルクが、
怒りに震えながら立ち上がった。
「ふざけんなよ!!
オレたち、あんたを信じて──」
だが。
俺は、ハルクを制した。
「いいんだ」
静かに言う。
みんなが、驚いた顔をした。
俺は、レオンに歩み寄る。
「自由を手に入れるってことは──
恐怖と、痛みと、
そして、裏切りさえも、受け止めることだ」
「レオン、お前は間違った。
でも、それを認めた。
──それなら、またやり直せる」
レオンは、涙を流しながら、
俺の手を強く握った。
「……リベルさん……」
こうして。
俺たちは、
裏切りも、傷つきも乗り越え、
もう一度、"本当の信頼"を築き直した。
(これが……
自由を目指すってことなんだ)
俺は、心の中でそっと呟いた。
──まだ、戦いは終わっていない。
だが。
俺たちの心は、
以前よりずっと、強くなっていた。
【To be continued...】




