第20話「ホケるな!貯める力で保険沼から脱出大作戦」
──数日後。
ホケマクリ村では、リベル・アーツ一行が立ち上げた
「保険見直し相談会」が、ひっそりと開かれていた。
広場の隅。
ボロボロのテントの下に、手作りの看板。
【ホケホケ相談所】
~保険でホケないために~
ハルクがチラシを配りながら叫ぶ。
「保険、ちゃんと見直そうぜーー!!!」
「なんでもかんでもかけてたら、金がいくらあっても足りねぇぞーー!!」
ミーナは、
可愛らしいイラストつきのパンフレットを手渡して回る。
【見直そう、未来のために。】
(……地味な作業だけど、これが一番効く)
俺は、静かに拳を握った。
実際に相談に来た、
若い農夫のカイル。
カイルは、
「もしものために」って理由で
作物収穫失敗保険
農機具破損保険
農道通行中転倒事故保険
──全部、三重四重に保険をかけていた。
「これ……要るか?」
俺は、冷静に説明する。
収穫失敗のリスク→農業組合の共済でカバー済み
農機具保険→すでに魔導ギルドの保証範囲内
転倒事故保険→医療費控除制度があるため必要なし
つまり、
ほとんど無駄だった。
カイルは、頭を抱える。
「……オレ、無駄に金払ってただけだったのかよ!!」
俺は、にやりと笑った。
「知ることが、自由への第一歩だ」
こうして、
ひとり、またひとりと、
村人たちは保険を見直し始めた。
不要な契約を解約
本当に必要なリスクだけ、必要最小限で守る
みるみるうちに、
村人たちの固定費が減っていった。
「家計が、こんなに楽になるなんて……!」
「未来に希望が持てる!!」
そんな声が、広場に響き渡った。
──夜。
作戦本部(希望の家)に戻った俺たちは、作戦成功を祝っていた。
ミーナがはしゃぐ。
「リベルさん!すごいよ!!
こんなに早く結果が出るなんて!!」
ハルクも笑いながらパンをかじる。
「オレたち、やっと村を救えるかもしれねぇな!」
俺は、空を見上げた。
(──でも、ここで満足しちゃいけない)
自由とは、
守る力と使う力まで手にして、
初めて本物になる。
その時──
ふわりと、金色の風が吹いた。
いつものように、
金色のカーペットに乗ったバリ師匠が、空に浮かんでいた。
師匠は、夜空に消え入りそうな声で一言だけ呟いた。
「守るとはな……
本当に"大切なもの"だけを選ぶことだ」
そして、
にやりと笑って、またどこかへ去っていった。
俺は、拳を握った。
(──わかってる。
でも、今はまず、"貯める力"を極めるんだ)
ホケマクリ村を救うために。
そして、
自分自身の自由のために。
俺たちの戦いは──
まだ、続く!!!
【To be continued...】