第182話 「この現実(リアル)こそが、オレのリベシティ」
ここまで読み進めてくれたあなたへ。
長いようで短かった、“現実世界”という冒険の旅も──
いよいよ、ラストステージにたどり着きました。
主人公・国府宮健太郎が辿ってきたのは、
「どこにでもいる、ひとりの元・社畜」が
自分の足で、“自由な人生”を歩き出すまでの道のりです。
何かを失い、何も持たずに戻ってきた現実世界で、
それでも彼は、あの異世界で掴んだ“5つの力”を信じ、
少しずつ前に進んできました。
この最終話では、そんな健太郎が
「たったひとりの行動が、誰かの希望になる」──
そんな“静かな感動”を、
現実の中に見つける物語をお届けします。
きっと、あなたの現実のどこかにも、
今日の彼のような一歩があるはずです。
さあ、“ラストページ”をめくりましょう。
──朝が、来た。
健太郎は、いつもより少し早く目を覚ました。
外は雨。どこか少し肌寒い。けれど不思議と、心は静かだった。
カーテンを開ける。
ベランダ越しに見える小さな空に、どこまでも透明な雨が落ちている。
(静かな朝やな……)
スーツじゃない服に袖を通しながら、健太郎は思う。
“あの朝”とはまるで違う。
灰色のオフィス。機械のような日常。
定時という名の不定時。
あのままいたら、自分はきっと“壊れていた”。
でも──いま、ここにいる自分は違う。
確かに、まだ稼ぎは少ない。
生活もギリギリだ。
だけど、胸の奥には、たしかな“灯り”がある。
◆
きっかけは、たった一つの動画だった。
「会社、辞めたいって思ったことある人、います?」
YouTubeのホームに、何気なく流れてきたそのサムネイル。
どこかのんびりした男性の語り口、けれど本質を突いた言葉。
動画の主──“両@リベ大学長”。
彼の話すこと一つひとつが、
まるで“あの世界”で出会った師匠たちのように、
健太郎の胸にすっと入ってきた。
「まずは生活防衛資金を作ろう」
「家計は“防御力”。攻める前に守る」
「自由は、“選べる力”のことやで」
……泣きそうになった。
まるで、過去の自分に言われているようで。
その夜、健太郎は駅前の書店で『お金の大学』を購入し、ページをめくりながら何度も頷いた。
(これ、オレが異世界で学んだ“5つの力”やんか)
貯める、稼ぐ、増やす、守る、使う──
全部、そこに書かれていた。
あの旅は、やっぱり“夢”じゃなかった。
あの力は、“この現実で自由に生きるための地図”だったんだ。
◆
その翌日。健太郎は、リベシティに入会した。
ログイン初日のプロフィール欄に、こう書いた。
「リベル・アーツという名で、異世界を旅していました。
でも今は、現実世界で自由に生きる方法を学びたくて来ました」
誰にも信じてもらえないようなその言葉に、思いがけない“いいね”がついた。
「ようこそ現実のギルドへ!」
「あなたの旅、続きをここで応援します」
そう返信してくれた人もいた。
──それだけで、泣きそうだった。
◆
あれから数ヶ月。
健太郎が仲間と始めたブログ『リベの灯火』には、少しずつ読者がついてきた。
ある日、ひとつのコメントが届いた。
「会社を辞める勇気が出ませんでした。
でも、あなたの記事を読んで、“選べる人生”があると知りました。
今は自分にできる小さな副業を始めています。
本当に、ありがとう。」
健太郎は、モニターの前で静かに手を握った。
──自分の“あの一歩”が、誰かの“はじまり”になった。
これほど嬉しいことはなかった。
あのときの自分に、誇れる今日が、ここにある。
◆
その夜、ノートを開く。
あの黒いノート。
異世界の旅で得たすべてを記した──“記憶の遺産”。
空白だった最後のページに、今夜こそ言葉を綴る時が来た。
『この現実こそが、オレのリベシティ。
ここには仲間がいて、灯火があって、夢がある。
オレは、まだまだ未熟だ。
けれど、学び、動き、つながることで、何度でも“再出発”できる。
転生は、人生のリセットじゃない。
これは、自分の“選択”で人生を変える物語だったんだ。』
ペンを置いて、健太郎は天井を見上げた。
あの頃の空は、閉ざされていた。
今、見えているのは──“開かれた空”。
明日も、自由に向かって生きていこう。
現実のリベシティで。
ひとりじゃない世界で。
「どんな状況からでも人生は良くしていける。
たった一度の、人生で、今日が一番若い日だ!
悔いにない豊かな人生を生きよう。」
──終章──
『転生したらリベシティ建国者になってた件』
ー 完 ー
ここまで共に歩んでくださり、ありがとうございました。
もし続編、番外編、新しい主人公による“別の視点のリベ物語”などが書いて欲しい依頼がありましたら、
いつでも言ってくださいね。
この物語のように、どこからでもまた“新しい人生”は始められます。
「今日が一番若い日」
楽しい人生にしていきましょう!!




