第180話 「リベシティで出会った仲間たち」
──“人とのつながり”が、こんなにも心を軽くするものだったのか。
リベシティに入って2週間。
健太郎は、毎日のように掲示板を覗くようになっていた。
自己紹介スレッドで出会った人、
副業サロンで何気なくコメントを返してくれた人、
家計改善サロンで同じ通信プランをおすすめしていた人──
みんな、どこかに“共通の温度”を持っていた。
「誰も否定しない」
「知識がないことは恥じゃない」
「でも、学ばないままではもったいない」
それは、健太郎が異世界で一度味わった“安心して努力できる場所”の再来だった。
◆
ある日、副業スレッドにこんな投稿があった。
【note・ブログで収益化してる方、情報交換しませんか?】
まだ駆け出しですが、同じように頑張ってる人たちと繋がれたら嬉しいです!
何気なく「いいね」を押した健太郎に、すぐにDMが届いた。
「よければ、軽く雑談会とかしませんか?
Zoomとか使って、週末に1時間くらい」
健太郎は、少しだけ悩んだ。
(顔も知らない人と、ビデオ通話……)
でも、結局「いいですよ」と返事をした。
──“リベシティでつながる”というのは、
ただのテキスト上のやりとりだけじゃない気がしたからだ。
◆
土曜の夕方、スマホ越しに始まったZoom通話。
画面には、年齢も性別もバラバラな3人の顔が映った。
・独立を目指す30代のデザイナー
・家計改善を発信する主婦ブロガー
・地方で副業に挑戦中のサラリーマン──そして、健太郎。
共通点はひとつだけ。
「変わりたい。自由に近づきたい」
その思いだけで、会話は想像以上に弾んだ。
「noteの構成って、どんな感じで考えてます?」
「SNSと連動させると読まれやすいですよ」
「アクセスってどうやって分析してますか?」
気がつけば、メモ帳にはアドバイスがびっしりと並んでいた。
(……これが、“情報を共有する”ってことか)
誰かが実践して、気づいて、そしてまた誰かに渡していく。
まるで──
“見えない地図を、みんなで描いているような感覚”。
異世界の冒険でも、街づくりはひとりじゃできなかった。
仲間がいたから、街は生まれた。
今、現実でも、そんな“街”を作り始めているのかもしれない。
◆
通話を終えて、健太郎は静かに画面を閉じた。
部屋は変わらず、静かで狭い。
けれど、どこかで風が吹いた気がした。
彼は手元の黒いノートに、こんな一文を記した。
『つながりは、心を照らす火だ。
灯してくれた人がいるなら、今度は自分が誰かの火になろう。』
【次回予告】
次回は──
健太郎が「ひとりじゃないこと」を自覚し、
現実でも“小さなチーム”で何かに挑戦しようとする物語。
次回・第34話:
「ひとりじゃない道──仲間と描く現実世界のギルド」




