第19話「保険沼の闇を暴け!」
──翌朝。
俺たちリベル・アーツ一行は、
ホケマクリ村の本格調査に乗り出した。
「まずは、村人たちの家計状況を知ることからだな」
俺が言うと、
ハルクとミーナは元気よく頷いた。
「オレ、若い衆のところ回ってくる!」
「私は、おばあちゃんたちに聞き取りしてみる!」
三手に分かれ、村中を駆け回る俺たち。
だが──
すぐに、想像以上の"異常さ"に直面することになった。
ハルクの報告。
「家計簿、見せてもらったんだけど……
保険料で月収の70%吹っ飛んでた……」
ミーナの報告。
「おばあちゃんたち、
『保険に入るのは生きがいだ』って言ってた……」
俺も、老夫婦に話を聞いて、腰を抜かした。
「老後安心パック」「孤独死保険」「万一記念葬儀サポート保険」
──全部、契約済みだった。
(これじゃ……
生活できるわけがない)
調べれば調べるほど、わかったこと。
村人一人あたり、平均で「月30銀貨以上」の保険料
同じリスクに対して、二重・三重契約が当たり前
必要ない補償(たとえばタブ石保険)にまで入らされている
保険会社=村の権力者になっていて、誰も逆らえない
(これが……ホケマクリ村の正体か)
俺は、思わず唇を噛み締めた。
広場に戻った俺たちは、情報をまとめた。
ハルクが怒りに震える。
「ふざけんなよ!!
こんなの、"安心"じゃねぇよ!!」
ミーナも泣きそうな顔で言った。
「守りたくて、守れなくなってるなんて……!」
俺は、
村の掲示板に貼られた大量の"保険勧誘ポスター"を見上げた。
(これが……
"安心という名の鎖"だ)
その時──
どすどすと広場に現れたのは、ホケヤ支部長とその部下たちだった。
黒ローブを翻しながら、
彼らは不気味に笑う。
「調査ごっこは、そこまでにしておけ」
ホケヤは、わざとらしく書類をひらひらと振った。
【保険契約義務条項】
「村民は、定められた最低保険本数を維持しなければならない」
「契約だよ、契約。
自由だの何だのと言ったってな……
"村の掟"には逆らえねぇんだよ」
ハルクが叫ぶ。
「そんなのおかしいだろ!!!」
「オレたちは、自由になりたいだけだ!!」
だが、ホケヤは笑っていた。
「フフフ……
安心を捨てるってことは、リスクを背負うってことだ。
怖いだろ? 本当に、それができるのか?」
──
俺は、
静かに拳を握った。
(ああ、わかってる)
自由を掴むには、
"本当のリスク"と向き合わなきゃならない。
(でも、だからこそ──)
(俺たちは、絶対に負けない!!)
【To be continued...】