第177話 「脳みそが過労死しそうだ。簿記と副業と睡眠不足の日々」
──眠い。けど、やる。
朝6時、目覚ましより早く起きて机に向かう。
コーヒーを淹れ、テキストを開き、まずは仕訳の復習。
「借方:通信費 貸方:現金──」
(いや、これはKyashで払ったから“預金”か……?)
クラウドワークスで得た収入を“売上”、
Adobeのサブスクを“通信費”、
スマホ代は“通信費”にあたるのか、それとも“事業主貸”か──
考えるたび、頭がフリーズする。
(なんで会社員のとき、こんな基本も知らなかったんだ……)
今さらながら痛感する。
お金の流れを理解するには、“数字の言語”が必要だということを。
◆
昼間はクラウドワークスのライティング業務。
3,000字の記事を納品し、クライアントから
「SEOの知識が増えてきましたね!」と褒められた。
──だが、その報酬の会計処理に戸惑う。
(これは“税込”か? 源泉徴収あるのか? 青色申告の時どうする?)
学んでいるつもりなのに、実務に落とし込もうとすると混乱する。
◆
夜はnoteの反応チェック。
先日公開した「クラウドワークスで初報酬を得るまでの全記録」が、
地味に売れ続けている。
「これ、めちゃくちゃ参考になりました!」
「今の自分にピッタリなnoteでした」──
そんなDMを見るたびに、またやる気が戻ってくる。
(オレの“経験”に価値を感じてくれる人がいるんだ)
でも、喜んでばかりいられない。
noteの売上も簿記的には“売上”扱いだ。
つまり、帳簿への記録と税金の対象になる。
ここでも簿記知識が必須。
(……つまり、オレは今、
“学んだことを、すぐに現実に活かしてる”んだ)
ようやく、この努力が“地続き”になっていることを実感する。
◆
ある晩、健太郎はノートに記す。
『学びながら稼ぎ、稼いだらまた学び、
さらに価値を高めてまた稼ぐ──。
これが、自由になるための“ループ”なんだ。』
テキストの最終ページを開いたとき、
健太郎の手は、少しだけ震えていた。
「次は模擬試験。合格ラインは70点以上」
簡単ではない。
でも、少しずつ「お金の言葉」がわかるようになってきた今──
怖さよりも、「早く知りたい」という好奇心が勝っていた。
◆
──そして試験当日。
CBT方式(パソコン受験)で行われる日商簿記3級。
緊張しながらも、出題された仕訳に手応えを感じる。
「これ、オレが昨日noteで使った取引と同じじゃん──!」
時間ギリギリで終了。
画面に表示されたスコアは──
《正答率:76% 合格です》
その瞬間、健太郎は拳を握った。
(やった……!)
◆
帰宅後、合格証をプリントアウトして、ノートの表紙に貼りつけた。
その横に、こう書き添える。
『勉強は、人生のアップデートだった。
自分の“ビジネススキル”が、ちゃんと育っている。』
そして、noteの新作に着手した。
「未経験でも簿記3級に独学合格する方法」
──それは、また誰かの“最初の一歩”を支えるnoteになるはずだ。
次回予告】
学びの成果をnoteで再販。
そこに、新たな出会いが──
「記事、読みました。ぜひ、うちで“もっと本格的な”仕事しませんか?」
次回:「企業案件の誘い。無名ライターに舞い込んだ転機」