第175話 「副業の落とし穴。“信用”を失わないために必要なこと」
──「おい健太郎、お前の名前が“転載”されてるぞ」
深夜。友人からのLINE通知で、健太郎は目を覚ました。
URLを開くと、そこには──
クラウドワークスで納品したばかりの自作記事が、
まるごとコピペされた状態で、無断転載されていた。
(……は? なんで?)
掲載されていたのは、いわゆる“まとめ系サイト”。
著者名の記載はなし。
クライアント名も無関係。
だが、文末の言い回し、段落構成──すべてが“自分の文章”だった。
◆
翌朝、健太郎はすぐクラウドワークスに問い合わせを出し、
念のためクライアントにも連絡をとった。
クライアントからの返答は、誠実なものだった。
「納品いただいた記事は当方で問題なく使用しております。
転載サイトの件は確認しておらず、当方とは無関係です」
──つまり、第三者がどこかで健太郎の記事を拾い、
無断で転載していた可能性が高いという。
ネット上にコンテンツを公開する以上、
“盗用リスク”はゼロにならない。
けれど──
それ以上に健太郎を焦らせたのは、「自分の信用」が傷つくことだった。
(……こんなことで、クライアントからの信頼を失いたくない)
◆
健太郎は、自分の行動を整理した。
・記事の著作権は原則クライアントにあること
・外部転載された場合、まずは事実確認と証拠保存
・クラウドワークスのサポートに通報済みであること
これらを丁寧にまとめ、Slackでチームに報告した。
「今回の件について、私の意図しない転載があったため報告いたします。
ご迷惑をおかけすることがあれば、心からお詫びします。」
──そして、返ってきたのは温かい言葉だった。
「迅速に対応してくださり、ありがとうございます!」
「むしろ“健太郎さんの記事”だから転載されたんでしょうね」
「信用は、こういうときに守るものですよね」
健太郎は、ようやく安心して深く息を吐いた。
◆
“稼ぐ”ことに意識が集中しがちな副業。
けれどその裏には、「信用を築く」「守る」努力が欠かせない。
ノートにこう記した。
『仕事は“信用”で成り立ってる。
成果だけじゃない。対応もまた、評価されるスキルだ。』
◆
その夜、健太郎はリベシティの動画をもう一度見直した。
そこにあった一文が、深く胸に響いた。
「副業は、自分という“ブランド”を築く仕事。
お金よりも先に、“信用”を積み上げることが先だ。」
健太郎は、また一つ“リアルな強さ”を知った気がした。
【次回予告】
簿記試験も目前。クラウドワークスの報酬も安定。
だが──健太郎は次なる挑戦へ踏み出す。
「オレ自身の“商品”を売ってみたい──!」
次回:「noteで売る“自分の経験”。無名のオレに、価値はあるのか?」