第170話「地味で稼げる?『記事リライト』という裏稼業」
──それは、ちょっとした違和感から始まった。
「最近、ライティング案件より“リライト案件”の方が単価いいかもな……」
クラウドワークス内で検索フィルターを変えながら、健太郎は気づいた。
オリジナル執筆よりも“修正系”
──いわゆる記事のリライトや校正案件の方が、意外に安定して依頼が出ている。
(ライターって、ゼロから書くばかりが仕事じゃないんだな)
◆
とある案件に目が止まった。
【内容】:既存ブログ記事の文章修正(誤字脱字、文体統一)
【文字数】:1記事あたり3000字前後
【報酬】:1記事あたり600円
【納期】:48時間以内(柔軟対応可)
(……これなら、やってみたいかも)
応募文に「文章チェックや編集は得意です」と添えて送信。
翌朝、採用の連絡が届いた。
◆
健太郎が受け取った原稿は、金融系ブログ記事。
内容自体はしっかりしているが、文体がバラついていた。
たとえば──
「この制度は、初心者にもわかりやすくて便利ですよ」
→「この制度は初心者にもわかりやすく、非常に利便性が高い」
「オレも実際にやってみたけど」
→「筆者も実際に活用した経験がある」
(なるほど、“口語から整える”仕事か)
読点の位置、表現の重複、語尾のバランス……
地味な作業だが、やればやるほど“文章の骨格”が見えてくる。
──これは、筋トレだ。
文章力を鍛えるには、リライトが一番地味で効く。
◆
3時間後。1記事のリライトを終えて納品。
クライアントからはすぐにメッセージが届いた。
「修正の意図をしっかり理解されていて助かります。
他の記事も継続的にお願いしたいです!」
そして──
【★★★★★】
【リライトの精度が高い】【対応が迅速】【今後も依頼予定】
健太郎はノートに、いつものように記した。
『目立たない仕事ほど、信頼されやすい。
“影で支える”文章技術は、武器になる。』
リライト──それは、光の当たらない世界。
だが、そこには職人のような静かな誇りがあった。
◆
この夜、健太郎はふと思った。
「自分の強みって、意外と“他人の足りないとこ”に気づけることかもな」
──それは、会社員時代には評価されなかった能力だった。
──けれど、今は“その力”でお金を得ている。
リベシティの5つの力、
「稼ぐ力」を磨き鍛えるフェーズが、いま確かに進行していた
【次回予告】
案件も増え、収入も少しずつ安定。
でも、健太郎の心にぽっかりと空いた“時間”がひとつあった──
次回:「書くばかりじゃ、煮詰まる夜もある。仲間って、必要かもしれない」