第169話 「生活防衛資金とは何か”を、時給500円で説明する仕事」
──「金融系の執筆経験、ありますか?」
クラウドワークスのメッセージ欄に、そう書かれていた。
(金融系……?)
健太郎は少し悩んだあと、ふっと笑った。
(あるよ。めちゃくちゃ“リアル”なやつが)
◆
案件内容は、生活防衛資金についての初心者向け記事。
文字数は2000〜2500字。報酬は1200円。
時給にすると、およそ500円前後──破格というわけではない。
だが、テーマはまさに“ど真ん中”。
──会社を辞めた自分が、最初に頼ったのがそれだった。
──固定費を削り、保険を見直し、キャッシュレスに切り替え、
──そして“生活防衛資金”のありがたみを身に染みて感じた。
「これは、オレにしか書けない」
そう思った。
◆
構成を練り、見出しを立てる。
【導入】
退職後、初めて知った「生活防衛資金」の大切さ
【1章】
そもそも生活防衛資金とは何か?
【2章】
いくらあればいいのか?目安と考え方
【3章】
どうやって貯める?おすすめの方法3選
【まとめ】
“安心”は、貯金の数字からしか生まれない時もある
過去の自分に語りかけるように、丁寧に書き進めていく。
・固定費を3万円削った話
・保険を見直して月額1万円浮かせた話
・家計簿アプリとKyashで支出を見える化した話
誰に頼まれたわけでもない、リアルな体験。
けれど、今はそれが“価値”になる。
◆
納品後、クライアントから返信が届いた。
「実体験が入っていて非常に読みやすかったです。
初心者の読者が安心できる構成でした。
今後、金融ジャンルでも継続案件お願いしたいです!」
健太郎は、手帳にこう記した。
『“実体験”は、最大の差別化になる。
誰かのための文章には、オレ自身が生きていた証が必要だ。』
クラウドワークスのプロフィール欄にも、
「金融ジャンル(生活防衛資金・固定費削減)の執筆経験あり」と追記した。
時給はまだ500円。
だけど、そこに「未来への投資」という意味が生まれた。
◆
夜、ノートPCを閉じて、健太郎はつぶやいた。
「人生、どこで“使える経験”になるかわからないな……」
5つの力、現実世界で確実に役立っている。
そして、次のテーマは「積み重ねる力」。
【次回予告】
「実績」が増え始めた。
じゃあ“次に挑戦すべきフィールド”は──
次回:「地味で稼げる?『記事リライト』という裏稼業」