第165話 「人生初の印税通知──それはたった175円。でも、心から嬉しかった」
──それは、メールの通知欄にさりげなく現れた。
【KDP Payments:今月の印税支払額が確定しました】
Amazonからのメールだった。
健太郎はそっと画面を開き、内容を確認する。
支払予定額:175円
「……本当に振り込まれるんだな、コレ」
思わず、にやけた。
175円。
自販機で缶コーヒーが1本買えるかどうかの金額。
でも──この175円は、オレが“言葉で稼いだ”175円だった。
バイトでもない、給与でもない、報酬でもない。
自分が考え、自分の言葉で、自分の責任で生み出した。
◆
そして、もうひとつの通知が届いていた。
【レビューが投稿されました】
評価:★★★★☆(星4)
内容:
「会社を辞めたばかりで不安でした。
具体的に何をすればいいのかが書かれていて、
自分の焦りが少し落ち着きました。
文字数は少なめですが、そのぶんスッと入ってくる本でした。」
健太郎は、スマホを胸元に置いてしばらく目を閉じた。
「……これ、誰かの役に立ったんだな」
売上は、たった1冊。
レビューは、たった1件。
でも、そこには確かに**“届いた”**という実感があった。
◆
夜、健太郎はブログで初印税の報告記事を書いた。
「人生初の“自分の言葉で稼いだお金”が入りました。
たった175円。でも、金額以上の価値があります。
これからも、自分が経験したことを誰かに役立てていけたらと思っています。」
それを読んだフォロワーのひとりが、こんなコメントをくれた。
「こういうのを読むと、自分もやってみたくなります。
背中、押してもらいました!」
健太郎は、ノートに最後の言葉を書き記した。
『たった175円。でも、これは“誰かのために動いた証”だ。
金額は結果。けど、価値は“意志”から生まれる。
オレは、自由に生きることを選んだ。
そしてこの一冊が、オレの新しい人生の礎になる。』
けれど、健太郎の“稼ぐ力”の冒険は、まだ始まったばかり。
次は、別の武器を手に入れる旅へ──。
次回予告】
「文章だけが、オレの武器じゃない」
クラウドワークス、スキル販売、テンプレ商品──
“実行できること”は無限にある。次なる副業は──ライティング案件挑戦編!
次回:「仕事として、文章を書く。クラウドワークスという戦場へ」