第165話 タイトル:能力をお金に変えよう。オレにしかない“強み”の探し方
「稼ぐ力」フェーズの第2話(通算第165話)として、健太郎がいよいよ自分のスキルを副業に変える挑戦を始める回をお届けします。テーマは「自分の中の“当たり前”が、誰かの役に立つ」。
──“売るモノ”は、まだ家の中にある。
けれど、“売れるコト”は──自分の中にある。
メルカリで得た初収益が、健太郎の背中を押した。
(次は……スキルだな)
自分の知識、経験、考え方、文章力──
それを“形にして売る”フェーズへ進むときが来た。
だが、ふと思う。
(オレに、売れるスキルなんてあるのか?)
◆
異世界・リベシティ建国期。
町を出て最初にしたことは、“自分の役割”を知ることだった。
武器を作れる者は鍛冶師に、
知恵を出せる者は参謀に、
狩猟が得意な者は前線に──
オレも今、それをする番だ。
健太郎はノートを開き、“できることリスト”を書き出した。
文章を書くのは得意(報告書・説明・構成)
調べるのが好き(比較・要約・分析)
経験がある(退職・節約・副業スタート)
Can use:Word、PowerPoint、Canva
発信ツール:ブログ運営中
(こうして並べてみると……“役に立ちそうなこと”、意外とあるな)
そう思った瞬間、不思議と力が湧いてきた。
◆
次に健太郎が開いたのは──**「ココナラ」**というスキル販売サイト。
自分の得意をサービスにして出品できるプラットフォームだ。
人気ジャンルを見ると、意外にも「ライティング」や「相談系」サービスが多く並んでいた。
退職・転職の体験談を聞いてほしい
ブログ構成を手伝ってほしい
Canvaで作る簡単バナー
プロじゃないけど、話を聞いてほしい──
どれも、超人スキルじゃない。
“ちょっと先を歩いている”だけの人たちが、ちゃんと価値提供していた。
健太郎は考えた。
(オレだって、あの退職経験、節約方法、ブログの始め方──
1ヶ月前のオレに教えてやれること、山ほどある)
そうして生まれた、初めての出品タイトルはこうだ。
【実体験で話します】
会社を辞めた後の不安、生活防衛資金、固定費見直しの相談のります(30分)
価格はワンコイン、500円。
初めから稼ぐつもりはない。
大事なのは、“誰かの役に立てる”ことを実感することだった。
「稼ぐって、“誰かの課題をちょっとだけ楽にしてあげること”なんだな」
そう呟いた健太郎の目は、少しだけ強くなっていた。
◆
その夜、ブログにも「副業を始めた話」を綴った。
アクセスはまだわずかだ。
でも──この小さな循環が、未来に繋がっている気がした。
ノートには、こう書いた。
『スキルとは、特別な才能のことじゃない。
“誰かの役に立つ”ってことを、見つけ出して形にしたものだ。
オレの知識と経験が、誰かの助けになるなら、それはもう立派な価値だ。』
スキルは、金じゃない。
でも、それを正しく届けられたとき──“価値”に変わる。
【次回予告】
まさかの初依頼!?
人生で初めて「ありがとう」と言われて得た500円は、想像以上の“ご褒美”だった。
次回:「ありがとうの値段は500円。でも、それ以上に温かかった。」




