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第164話 :小さな副業が、人生を変える。稼ぐ力、始動!

──準備は整った。


支出は見直した。

無駄を削り、生活防衛資金の防壁を築いた。

“騙されない力”も装備した。


次に必要なのは──攻めの一手。


 


健太郎は、パソコンの前で腕を組んだ。


「稼ぐ力、始動──だな」


 



 


異世界・リベシティ建国当初。

資源も人手もない中、最初に手をつけたのは“価値の交換”だった。


余った食材をレシピに変え、

磨いた技術を“仕組み”に変えた。


 


現実でも同じだ。


まずは、“自分の持っているもので稼ぐ”ところから始める。


 


健太郎はノートを開き、「副業アイデア」を書き出した。


ブログ(雑記・体験談・お金の話)


電子書籍出版(Kindle)


イラスト・デザイン販売(Canva活用)


ライティング案件クラウドワークス


スキル販売ココナラ


動画編集(カット・字幕レベル)


 


どれも、大金は稼げない。

だが重要なのは、“ゼロを壊す”ことだった。


 


「まずは……ブログか」


 



 


無料ブログを開設し、テンプレートを整える。


タイトルはまだ決まっていない。

けど、健太郎は迷わず1本目の記事を書き始めた。


テーマは「会社を辞める前にやっておくべき5つのこと」。


 


実体験からくる言葉は、スラスラと出てきた。

失業保険、生活防衛資金、固定費見直し、家計簿アプリ、キャッシュレス管理──

今の自分が通ってきた道だからこそ、伝えたいことがあった。


 


公開ボタンを押す手は、少し震えていた。


だがその指先に、確かな“熱”が宿っていた。


 


「たった1円でも、オレが稼げたら──それは、会社員時代のオレを超えたってことになる」


 


その夜、ブログにアクセスはなかった。

収益はもちろん、ゼロ。


けれど、健太郎の心の中には確かに何かが灯っていた。


 



 


ノートのページに、こう記す。


『副業とは、未来に投げた“信号弾”だ。

誰かに届くかはわからない。けれど、自分に届かせることはできる。

稼ぐ力──それは、“希望を諦めない力”のことかもしれない。』


 


“ゼロを超える”ための一歩が、確かに踏み出された。





──収入がゼロでも、“稼ぐ感覚”は手に入る。


 


ブログを始めた日の翌朝。

健太郎はふと部屋を見渡して、思った。


(……この部屋、意外と“死蔵資産”多いな)


 


読み終えたビジネス書、全然使わないスマホスタンド、

買ったけど合わなかったワイヤレスイヤホン、

もう何年も着ていないジャケット──


「これ全部、タンスの肥やしじゃなくて、資源じゃん」


 


そう気づいた瞬間、健太郎の指が自然にスマホを開いていた。


アプリ名:メルカリ。


 



 


まずは、本を5冊セットにして出品。

タイトルと内容を簡潔にまとめ、価格を1,800円に設定。


次に、イヤホンを丁寧に拭いて箱に戻し、

動作確認済みと明記して2,500円で出品。


 


服は撮影のためにハンガーにかけ、自然光の当たる窓際で写真を撮った。


「こういうの、異世界じゃ“交易準備”って言ってたな……」


 


そして出品後、数時間。


通知音が鳴った。


【商品が売れました】


「っ……!」


画面には、「ワイヤレスイヤホン/売上2,500円」の文字。


 


たった1件の売上。

されど、それは確かに──オレが生んだ“お金”だった。


 



 


健太郎は、梱包用に100均でプチプチと封筒を購入。

コンビニで発送手続きを済ませた帰り道、ふと笑みが漏れた。


「稼ぐって、こういうことか」


 


別に大金じゃない。

けれど、これは“会社以外から得た、自分の力で得たお金”。


それが何より嬉しかった。


 


その夜、マネーフォワードにメルカリの売上を反映。

「臨時収入:2,500円」の文字が表示される。


たったそれだけのことなのに、心が少し軽くなる。


 


健太郎は、ノートにこう記した。


『モノを売るとは、未来を整理することでもある。

過去に使った金が、今の自分を助ける。

そして、オレが自分の力で“お金を動かした”という実感が、なによりの収穫だった。』


 


次は、本棚だ。

その次は、押し入れ。

きっとまだ、“埋蔵金”はそこら中に眠っている。


 



 


こうして健太郎は、**副業への最初の一歩=“お金を自分で生む感覚”**を体に刻み込んだ。


それはきっと、異世界で“薬草を売った”あの瞬間にも似ていた。


 


──次は、もっと大きく稼げる何かを探す番だ。

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