第161話:サブスクとの決戦! 解約こそ、最強の魔法だ
「なんで……お前ら、こんなにいるんだよ」
健太郎はスマホ片手に、口を半開きにしたまま、
Amazonのメールボックスをスクロールし続けていた。
──サブスク。
月額課金型の定期サービス。
一見お得に見えて、その実態は“気づかれないまま財布を蝕む罠”だった。
動画、音楽、本、クラウド、英語教材、
筋トレアプリ、AI作曲ソフト、投資レポート……。
過去の自分が勢いで契約したサブスクたちが、
毎月黙って口座からお金を吸い取っていた。
健太郎は溜め息を吐きながら、家計簿アプリを確認した。
合計:月8,960円。
年間:107,520円。
「ギルドの食糧予算レベルやないか……!」
◆
まずは、契約一覧を書き出す。
異世界で“モンスターの出現パターン”を分析したときと同じように。
敵の正体を知れば、戦い方は見えてくる。
【健太郎のサブスク一覧】
Netflix:1,490円
Spotify:980円
Kindle Unlimited:980円
Youtube premiu:1,280円
Adobeフォトプラン:1,078円
筋トレアプリ:650円
英語アプリ:980円
クラウドストレージ(50GB):130円
某“脳トレ系”定期配信:1,392円
「……SpotifyとKindle、2ヶ月開いてないな」
「筋トレアプリ? 最後に開いたの、冬じゃね?」
「脳トレ? むしろ鈍ってね?」
ツッコミと後悔が交差する中、
健太郎はひとつひとつ、丁寧に向き合っていった。
・音楽は、YouTubeで流しっぱなしでもいい
・読書は図書館とブックオフで十分
・筋トレは散歩と腕立てで代用可
・クラウドは無料枠を整理すれば収まる
必要なのは、“お金”じゃなかった。
自分に合ったライフスタイルと、本当に必要なものを見極める目だった。
最終的に、健太郎が残したのは、
Adobeフォトプラン(月1,078円)
YouTube premium (月1,280円)のみ
「これは、今後の活動に絶対使う。だから残す」
選んだのは、あくまで“未来に役立つもの”。
無意識に契約したものは、すべて過去の“依存”だった。
◆
解約手続きがすべて終わったあと、
健太郎は静かなリビングで、インスタントコーヒーを啜った。
ただの解約作業なのに、どこか体が軽い。
心が、少し自由になった気がした。
ノートに今日の成果をまとめる。
『固定費:月8,960円 → 月2,358円
月6,602円の節約、年間で約8万円
残したのは、未来に繋がるサブスクだけ』
そして、ページの最後にこう記した。
『“選び取った支出”は、希望に変わる。
解約こそ、過去と決別する儀式。
オレはもう、惰性では生きない』
──削ったのは、惰性。
得たのは、判断力。
そして、自由。
生活防衛資金の壁が、少しずつ厚くなっていくのを、健太郎は確かに感じていた。
次の敵は──「現金の使い方」。
家計簿アプリと現金主義の狭間で揺れる現代戦士が選んだのは、袋分け管理?デビットカード?それとも──?
次回:「キャッシュレス管理で未来を変えろ! 〜Kyashとマネーフォワードの攻防〜」