第16話「選べ、自分の未来を──自由集会」
──その日。
ヘルマネ村の中央広場には、
信じられないほどの人だかりができていた。
老若男女。
子供から老人まで。
みんな、不安そうな顔で、でも確かに集まっていた。
(──ここが、勝負だ)
俺、リベル・アーツは、
広場の中央に立った。
隣には、ハルクとミーナ。
そして、ダンさんやエマさんたち、
勇気を出して立ち上がった村人たちが並ぶ。
「静粛に!!」
ギルド側の役人たちが、必死に叫ぶ。
「この集会は違法だ!!」
「すぐに解散しろ!!」
だが、村人たちは動かなかった。
誰も、目を逸らさなかった。
俺は、深く息を吸い、声を張り上げた。
「──みんな!!」
広場に、俺の声が響く。
「俺たちは、
今日ここで、たったひとつのことを伝えに来た!」
俺は、ポケットから掲げた。
正式な乗り換え手続き証明書、
ギルドの妨害記録ログ、
すべての証拠書類。
「俺たちは、何も違法なことはしていない!」
「ただ、
自分たちの未来を、
自分たちの手で掴もうとしているだけだ!!!」
広場が、ざわざわとどよめく。
俺は、続けた。
「みんな、不安だと思う」
「変わることは、怖い」
「でも──
今のまま搾取され続ける未来と、
自分で選んで生きる未来。」
「どっちを選ぶ?」
俺は、拳を握った。
「誰かに決められる人生じゃない。
"自分で選ぶ"人生を、
俺たちは、歩きたいんだ!!!」
その瞬間──
ハルクが叫んだ。
「オレもだ!!!」
ミーナも叫ぶ。
「私も!!自由に生きたい!!」
続いて、
ダンさん、エマさん、
村人たち、
次々に拳を突き上げる。
「オレたちもだ!!!」
「自由になりたい!!!」
「この村を、変えたい!!」
──ギルド側が焦り始める。
「バカな……!」
「黙れ!!ギルド様に逆らう気か!!?」
しかし。
もう、誰も、
怯えてはいなかった。
俺は、満天の空を見上げた。
(──バリ師匠。
俺、やったよ)
空の彼方に、
金色のカーペットが、ふわりと光るのが見えた。
バリ師匠は、
小さく、静かに頷いていた。
こうして──
ヘルマネ村は、
たった一度の、たった一日の、
この"自由集会"によって、
運命を変えた。
自分たちで、
未来を選ぶことを、
自由を選ぶことを、
決めたのだ。
【To be continued...】