第145話 「経済の掌握か、自由の取引か──帝国・グラン・テクト来訪!」
──その男は、まるで“商談の化身”のようだった。
濃紺の軍服に黄金の縁取り、
冷徹さと洗練を併せ持つ表情。
帝国グラン・テクトの外交団を率いて現れたのは──
帝都経済参謀にして、経済監査庁直属の特使ヴァルト・レインズ。
ヴァルト:「──初めまして、自由の街の創設者諸君。
我々は“市場における共存”を望む。
だが共存とは、ルールを合わせることだ。
そちらが変わっていただけると助かる」
ミーナ:「……開口一番、ナチュラルに飲み込もうとしてきたわね」
ティア(小声):「話し合いじゃなくて、すでに買収の打診だよ……!」
ヴァルトの提示してきた条件は、こうだった:
【グラン・テクトからの提案】
・リベシティの“増やす街区”を帝国管轄の取引所に接続
・リベの通貨を“帝国準備金”として運用させる
・市民向けの“利益還元制度”を提供する代わりに、帝国がシステムを支配する
要するに──
「便利と利益を与える代わりに、お前たちの“経済の自由”を渡せ」ということ。
リベルは、じっとヴァルトを見つめながら言った。
リベル:「……なるほど。そっちは“選べない仕組み”を、整えようとしてるわけか」
ヴァルト:「逆だ。“選ばせない”ことで最適化される。
あなた方の街には“無駄な選択肢”が多すぎる。
だから非効率だし、成長速度が遅い」
背後では、“帝国通貨”を魅力に感じた一部市民や商人が、
すでに“導入希望署名”を開始していた──!
ハルク:「……おいリベル、こっちの思想や自由はともかく、
経済的な“豊かさ”には、揺らぐ市民も出てきとるぞ……」
ミーナ:「これって、金で“自由”を買い取ろうとしてんのよ!
でも……それが“魅力的”に見えるのも分かるから……厄介!」
【緊急ミッション】
「市民の自由な経済選択を守りつつ、
帝国の“資本侵食”を止める方法を見つけよ!」
その夜、リベルは“増やす街区”の広場で語りかけた。
「……便利で、儲かる。それは素晴らしいことだ。
でも、“自由に選んだ儲け方”じゃなかったら──
それって、ただの“指示された豊かさ”じゃないか?」
「オレたちの街は、“増やす力”も“選べる”んだ。
自分で学んで、自分で決めて、自分で責任取る。
それが──リベシティのやり方だろ!」
【スキル発動:リベル・アーツ】
《増やす力・選択投資論》──
市民全体が“投資と経済の学び”を通じて、自立的にリスクと利益を判断できる仕組みを構築!
→ 翌日、“帝国モデル”より“リベ式積立と分散型市民ファンド”への支持率が急上昇!
ヴァルト:「……なるほど。信頼ではなく、“学び”で支えている街か。
君たちを飲み込むのは、想像より手強そうだな」
リベル:「飲み込まれるなら、最初から作ってないよ。
この街は“食われない”街だ。
だって、ここは“選べる”ってことを教えてるんだから──!」
次回:
「三国外交会議、開幕──自由の都市、世界の前に立つ!」
【To be continued…!】