第11話「支出の闇と、希望の光」
ハルクとミーナと手を組んだ俺は、
さっそく村の収支構造を洗い出すことにした。
まずは──
生活必需品リストだ。
食費、水道代、家賃、そして──魔導通信費。
(問題は……ここだな)
魔導タブ石(タブレット魔道具)を所有している村人たちの、
ほぼ全員が、同じ通信ギルドと契約していた。
【ヘルマネ魔導通信ギルド・プレミアムプラン】
月額:20銀貨
基本通信量:1タブ単位(ギリギリ足りない)
超過時追加料金:1タブごとに5銀貨
契約年数縛り:最低2年
しかも、
通信料とは別に「端末維持料」と「魔力供給基本料」も上乗せされている。
ハルクが、顔を真っ青にして叫んだ。
「たっけぇええええええ!!!!」
ミーナも震え声で言った。
「えっ……これ、みんな普通に払ってるの……?こんなに高いのに……」
俺は頷いた。
「"みんながやってるから安心"って心理を突かれてるんだ。
普通に暮らすだけで、固定費がどんどん膨れ上がっていく」
調べを進めるうちに、さらに判明した。
子供でも強制的にタブ石持たされている(分割ローン)
家庭ごとにタブ石3〜4台契約
さらに「タブ石保険パック」まで抱き合わせ販売
(これはもう、通信費地獄ってやつだ)
そんなときだった。
ミーナが、通信ギルドの広告の隅っこに書かれた小さな文字を見つけた。
「……リベルさん、これ」
差し出された広告には、こう書かれていた。
【独立系・小規模魔導通信ギルド(サブキャリア)加盟OK】
【マギノベ通信協会 認可MVNOギルドあり】
俺の目が輝いた。
(あるじゃねぇか!!格安キャリア!!)
その夜。
ハルクたちと一緒に、村外れにある小さな店舗を訪ねた。
そこは、質素な建物だったが、
中で応対してくれたのは、穏やかな表情をした魔導通信士だった。
「うちは小さなギルドですが、
必要最低限のプランだけで契約できますよ」
提示されたプランは──
【マギノベ通信ギルド・スタンダードプラン】
月額:8銀貨(基本通信量3タブ)
契約縛りなし、違約金なし、追加料金低額
ハルクが絶叫する。
「安すぎるだろおおおおお!!」
俺は静かに笑った。
「これが、"自由"ってやつだよ」
●必要な通信だけ
●いらないオプション一切なし
● 無理な縛り契約もなし
これなら、村人たちの"通信費"を、
一気に半分以下にできる。
(これだ。
ヘルマネ村を救うための、最初の切り札──!!)
俺たちは、作戦を立てた。
まずは少人数から乗り換え成功例を作り、
口コミで村中に広げる。
**「格安通信革命」**の火種を、
この村で燃やすんだ!!!
【To be continued...】