第99話「証人バリ師匠──『今日がいちばん若い日やで』の真意」
──カルナ帝国・最高評議院、法廷内。
突如現れた風の幻影──
それは神出鬼没の大富豪にして、“自由”の体現者──
バリ・モルディブデ・ザイアール、その人だった。
風が巻き上がり、裁判官たちのローブを揺らす。
裁判官:「だ、誰だ貴様……!?」
バリ:「風の通りすがりの証人や。名は……まあ、“バリ”でええわ。
ワシは、この男……リベル坊の“自由の旅”を最初に見送った者や」
会場は騒然。
バリ師匠が口を開くと、風が全員の耳元に吹き込むように響いた。
バリ:「この世にはな、5つの力っちゅうもんがある。
『貯める』『稼ぐ』『増やす』『使う』『守る』──
それは全部、**“自由に生きるための土台”**や」
「金は手段でしかない。けど、
その手段がなけりゃ、“生き方”すら選ばれへんのや」
裁判官:「だが!人は皆、決められた道を歩むからこそ安定する!
自由とは、社会を混乱に陥れる危険思想だ!」
バリは、静かに微笑んだ。
「わしは、いつも言うてる。“今日がいちばん若い日や”ってな。
それはな──
“今”を変えることができるって意味や」
そして、その場に風が吹き上がった、
固定観念を吹き飛ばす、“生きる哲学”の風!
「人はいつでも、どんなときでも、自分の人生を選び直せる。
他人に決められた人生を歩くことが“安定”なら──
ワシは“混乱”の中でも、自分で選ぶ道を選ぶ」
「だってな、**“生きてる”ってのは、“迷いながら進むこと”やろ?」
「それが不安や言うなら、不安に負けずに一歩踏み出すのが“自由の力”なんや!」
──その瞬間、
法廷の壁にあった「階級表」看板が風で崩れ落ちる。
見上げる市民、貴族、官僚たちの目が揺れる。
誰もが、心の中でこう問われた。
「──あなたは、“誰かに決められた人生”を生きてますか?」
裁判官たちは、判決を口にできなかった。
そして、バリは静かに去り際に言う。
「さぁ……リベル坊。
お前さんが選んだ言葉で、“決着”つけてこいや」
リベルは一歩前へ。
「オレは、誰も強制しない。
ただ、“選びたくても選べなかった人”が、
もう一度選べるように──この力を使ってるだけだ」
「それが罪だって言うなら、
オレは何度でも“その罪”を背負ってやるよ」
【スキル完全覚醒:リベル】
《自由の力・象徴者》
→ 生き方そのものが、“希望”になる存在へ!
その姿を見ていた帝国民の中に、
静かに、けれど確実に、
“自由”という言葉の意味が、変わり始めていた。
【To be continued...!】