世界はね、広いんだよ
どうも青です!!第六話「世界はね、広いんだよ」よろしくお願いします!!
今回は立花凛のお話ではなく、渚小春という少女の話になります!
これは、渚小春という少女の物語。
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私は昔から感情を面に出すのが苦手だった。だから小学校の時は、仮面人。などと言われてよくいじめられていた。中学校の時もいじめはなかったもののいつも一人だったし、何度か女子の中では陰口などもあり、基本的に浮いた存在だった。
私は感情こそ出すのは苦手だが、心の傷は着々とついていき時折胸が壊れそうなズキズキと音を立てて痛むことがあった。
でも周りの人はそんな痛みには気づいてくれなかった。
そんな日のことだった。
放課後忘れ物をとりに教室へと向かっていた。教室のドアに指をかけた瞬間数人の男子の声が聞こえて開けそうになった手を止めた。
「なぁ、あいつ。渚小春。あいつって小学校の時は仮面人ってあだ名があったんだぜー」
「あぁ、それ聞いたことあるわー。表情ずっと同じだもんな。」
まただ。こんな時にまた胸がズキズキ音を立てて痛む。
「なぁ、あいつだったら襲っちゃっても大丈夫そうじゃね?」
「ばかっ笑」
「確かに!あいつ話さなそうだし、まず話す相手がいないしなー。それにあいつ普通に顔面偏差値高いしな笑」
痛い。心が痛い。涙が止まらない。
私が…悪いの…?全部全部…私が…
そうやって教室前のドアにうずくまっていると右肩を誰かに触れられた。
びっくりした小春はドアへとぶつかってしまう
教室の中から男子達がびっくりして声を出した。
「誰だよ!出てこいよ」
小春は捕まれた肩の方を振り返ってみた。そこには一人の女子が笑顔で頭をグリグリと思いっきり撫でてくれた。
そして笑顔の女子は口を開いた。
「今まで、辛かったんだよね。ほんとはすっごく傷ついていつも泣いてたんだよね。」
彼女は私を抱きしめてくれた。潰れちゃうくらい。強く。
そして彼女は言った。「気づいてあげられなくてごめんね。」と。すごく暖かかった。
初めてちゃんと誰かに認められた気がしてすごく嬉しかった。
そして彼女は私の手をとり、「いこ!」と言って私を連れ出してくれた。
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学校を出て、二人してハァハァと息切れしていた。
思い出した、彼女は宮野朔。同じクラスだけど彼女は不登校気味なので話したことはもちろん会ったことだって数回しかなかった。
「あの、ありがとうございます。助けていただいて。」
「うん、いいのいいの。そんなことよりさ私と友達になろうよ!」
友達。自分とはすごく無縁なものだったので困惑した。
「私、あぁいうのに嫌気が刺してね。全部嫌になって、逃げ出したの。男子は平気でからかうし、女子は陰口耐えないしね。全部嫌いだった。つまんなかった、生きてることが。」
空を見上げてポツリとそんなことを彼女は語った。
「でもあなたを見ててもうちょっとだけ頑張ってみようかなって思ったの!」
「私は…別に…なにも…」
涙が止まらない。胸が…いつもズキズキ音を立てて痛む胸が、今はこんなにも暖かいんだ。
そうしていると私はまた彼女に強く抱きしめられた。
「あなたはあなたのままでいいの。だから自分を責めないであげて。世界はね、広いんだよ。あなたをちゃんと受け入れてくれるやつなんてごまんといるよきっと。だからゆっくりでいいんだ。ゆっくりでいいからあなたもあなた自身を好きになろう。ね?」
「ぐすっ…私を…好きに…」
「そう。小春が小春を好きになるんだ。」
私はそれから彼女の腕の中で赤ん坊のように泣きじゃった。
第六話「世界はね、広いんだよ」いかがでしたでしょうか!!
予定では次回との二話構成で考えております!!
次回もお楽しみに!!