決着。そしてその後に
守りたいもの。戦う理由を見出した凛。ついに決着。
「ん、はあぁぁ!」
キンッと音を立て真冬の蹴りを剣でいなしていく。
すかさず真冬は回し蹴り、後ろ蹴りなど息つく暇もなく攻撃を入れてくる。
だけど、僕は他人事のように冷静にさばいていく。
そして、さばきながら心の中でレヴィにコンタクトをとった。
○○○
「レヴィ」
「なんだい」
「今の状態、自分でも不思議だ。何がどうなっているんだ」
「簡単さ。私達の適合率が上がったのさ。朝などのランニングや筋トレがようやく生きたようだね。適合率が上がっても身体がついていけているだろう?」
「…なるほど、言ってしまえばリミッターが外れるだけで身体能力は上がるわけではなかったんだな」
「そういうこと~」
「レヴィ」
「なんだい」
「この戦い、勝算はある?」
「フッ、愚問だね~それは凛自身の身体に聞いてみなよ」
○○○
「はぁ…はぁ…くっそ!」
なんでこいつはこんなに息を切らしているんだ。不思議だ。僕は軽くステップを踏んでいたに過ぎない。
真冬がムチを出した。どうやら本気で来るようだ。
「甘く見ていた…ここまでやるなんてな~…クククッ!おもしろいぜぇぇぇ!!」
真冬は全速力でこちらに突っ込んできた。
僕は真冬目掛けて剣で突いた。
すると一瞬にして僕の視線から真冬が消えた。
「ククッ…打ち取ったりぃぃぃぃ!」
突いた瞬間真冬は下に潜っていた。
真冬は下から僕の顔を目掛けてムチを振るった。
勝ちを確信していた真冬。
ごめんな僕は負けない。
「…!グゥフッ!!」
僕は真冬、お前は避けてくることを知っていた。
いいやそもそもお前が僕の剣しか見ていないことを知っていた。
だから僕は走るために踏み出していた右足の膝でお前の顔面を当てられた。
鼻を抑えて倒れ込む真冬。
「くそ…俺が…誘われただと…」
「真冬、僕達の戦いを終わりにしよう。」
「クッ、ここまで…なんだな」
真冬は諦めたように大の字に倒れ込んだ。
「さぁ…殺せよ」
真冬はそう言い、僕をまっすぐ見る。
僕は真冬の元に近づく。
「僕は…」
あれ…
「たとえ大罪人でも…」
意識が…
「人は…殺さ…な…」
バタッ。
○○○
…ん…ここは?
「次ボレーシュート対決なー!」
「えー、秋兎、さっきやったばっかじゃーん」
「いいのいいの、やるぞー」
…!ここは…
そこには懐かしき立花凛の記憶。
「おーら、秋兎、そろそろご飯だから戻ってらっしゃい~凛君も時間も時間だし、そろそろ帰んな~」
「「はーい」」
こいつは成瀬秋兎近所に住んでいて同い年。よく秋兎の家の隣にある公園で僕達は遊んでいた。基本的にいつもこうして夕方になると玄関から秋兎の母親が顔を出し、呼びに来る。
いつもなら縮こまって目や耳抑えて遠ざけていた記憶。でも今の冷静な僕なら見れるかもしれない。
それにしても不思議な体験だ。自分の身体もちゃんと存在しているが、周りからは見えていなくて記憶の中にそのまま送られているみたいだ。
「凛、じゃーなー!」
「うん、また明日」
昔から僕はそんなに元気な性格ではなく穏やかな性格をしていた。対して秋兎は真逆な性格をしていた。いつもリーダーのように僕を引っ張ってくれる存在だった。
「なぁ、凛お前、将来とかって考えてるか?」
場面が飛んだ。おそらく特に強く刻み込まれている記憶を見ている感じか。
「急に何さ、」
「いいからいいから、どうよ」
「どう…ってそんなの小3が考えているわけないじゃん」
「そっかー考えてないのかー」
「秋兎はどうなのさ考えてるの?未来のこと」
「んーとりあえずヒーローになりたいな」
「聞いた僕がばかだった、考えてないんだね」
「はぁ?ヒーローだって真面目だっての、このこのー!」
「あはっ、ちょっ…やめてよー!」
そうだ。こいつはたまに本気なのか冗談なのか分からないこと言うんだよな。
また場面が移り変わった。
「なぁ」
「んー?なに」
「あれ見ろって」
「どれ…って…え?」
この日僕達はいつも通り下校している時、僕達のちょっと離れた場所を歩く女の子の後ろで電柱に隠れながらカメラで女の子を撮っているおっさんが居たんだ。
考えれば間違いなくこの日がターニングポイントだった。
「絶対不審者だって」
「そうだろうけどまずいって」
「女の子気づいてないっぽいし、注意するだけでも」
「秋兎、危険だって、先生も言ってただろ近づくなって」
「凛、俺は女の子を見捨てることはできない!」
「あぁ…ちょっ!…わかったよ!」
距離は前方約100m。秋兎は全速力で走り不審者の元へ向かい…
「なぁにしてんだよぉ!」
ドロップキックをかました。
注意するだけだと思ったのに…やっちゃったよ…
「くそがきがぁ…なにしてんだよはこっちのセリフだよぉ…」
流石に小3の蹴りだと退治なんて当然出来るわけもなく不審者はノロノロと立ち上がった。
そして周囲がざわつき始めたことで不審者はそそくさと去っていった
「顔、覚えたからな」
去り際、ぶつぶつと何かを言い残したみたであの時は聞き取れなかったがどうやらそう言っていたらしい。
「な!大丈夫だったろ」
「それでも危険なことに変わりはないよ」
「あ、あの」
あぁ不審者にストーキングされていた子か。確かこの後お礼を…って、え?
「不審者に気づいていなくて…ありがとうございました」
「いいって、俺成瀬秋兎。こいつ立花凛。」
「あぁっと渚小春です。よろしくお願いします。」




