守りたいもの。
「ブラック…ホール…?」
エリスは叫ぶと真冬の元へ槍を持って突っ込んだ。
「フッ、特殊能力とか叫んでおいてはったりか?どこが変わったってんだよっ!」
真冬は笑みを浮かべ右足をエリスの頭上で振り上げた。
エリスは止まることなく突っ込んで槍をしまって口を開けて真冬の右足に噛みつこうとした。
「…くっ!」
間一髪のところで振り下げた右足の軌道を変え、避けた。
振り下げ、地面に着いた真冬の右足の靴は妙な削れ方をして靴下が見えていた。
何か空気ごと削り取られたような。
「油断してたぜ。ブラックホール…なるほど。クククっ…面白いなその能力」
真冬がクククっと笑っているとエリスはまた突っ込み出した。
今度は足とかでなく真冬に突っ込む。
「こいこい!面白くなって来たぞー!」
エリスの動きを見切っているかのように軽々しく真冬が避けていく。
そして真冬は避けながらもカウンターなども入れようとして来た。
そうして避けて避けてを繰り返しついにエリスの顎に真冬のアッパーが入った。
「ガッハッ…!」
吹っ飛んだエリスは少し苦しそうだった。
「…ァァ…ハッ…ァァ…」
それを見た真冬がニヤリと笑った。
「あぁ、そゆこと。お前息ができないのが代償なのか〜」
息ができない…?
「確かにブラックホールは強い。だけどワンパターンすぎたなお前」
そして真冬は右足でエリスの頬を踏みつけこちらを見て言った。
「いいの?このままだとこいつ死んじゃうよ?」
勝てない。こいつには勝てないんだ。
せっかくエリスが来てくれたのに、負けるんだ。
◯◯◯
「凛。こんなところで負けるのか?」
レヴィの声。心の中で話しかけてくる。
「あぁ、僕じゃ土台無理な話だったんだ」
「言い訳して何が残る?」
「…!」
ぷつりと音を立てて自分の中の何かがちぎれた気がした。
◯◯◯
「…ほう、まだ立つか」
僕自身も何で立てているのか不思議だ。
でも今は、守りたいものがあって。やらなくちゃいけないんだ。
そんなことを思うと痛みも恐怖もない。
右手で剣を作る。身体が軽い。今なら、勝てる。
トンっと軽く音を立てて踏み込んで僕は真冬目掛けて飛んだ。
「…!」
初めて真冬が焦っていた。すかさずムチを出して凛の振った剣を防ぎ、一歩引いてニヤリと笑った。
「…フッ。それが本当のお前か…」
「フゥ…」
間髪入れず僕は剣で斬りかかった。
今までの蓄積された傷がなかったかのように何も感じない。
真冬も防御をやめ、攻撃をし始めた。お互い防御をせず傷だらけになってもやめない。
「面白い…グハッ…!面白いぜお前ええぇぇぇぇえ!?」
面白い、か。そんなこと僕は思わない。
守りたいもののため…こいつを殺す。




