奇跡の一撃
「あっ…」
「立花クン…!」
「…くっそ!!」
戦況は防戦一方。というよりは僕をエリスがフォローしてくれていて、間髪入れず真冬が連撃をしては防ぐので精一杯な状況だった。
エリスは初めから僕に協力を持ちかけてきたためあまり戦闘が得意ではないものだと思って巻き込まないようにしていたのに今じゃ守られている始末…かっこ悪すぎだろ、僕。
キンッキンッと音を立てて連続して飛んでくるムチをぴょんぴょんと飛び一本の槍をクルクルと回しいなしていく。
エリス…こんなに強かったんだ…地面に足をつけている時間より空中で回っている時間のほうが長い…
これが大罪人同士の戦い…なのか…それに比べて僕は何しているんだ…
おそらくエリスは僕をカバーしながら戦っているため、僕がどければエリスも戦いやすくなるのかもしれない。ギャラリーがいて、これが何か試合とかなら僕はただの邪魔者だ。怒号を浴びていることだろう。
だけど…
「うおぉぉぉ!!」
「…なにっ!?」
元はと言えばこれは僕の戦いだ。弱くても惨めでもエリスに任せて逃げるなどはしてはいけない。それにエリスは任せろではなく、一緒に倒そうと言ってくれたんだ。
気合いで立ち上がり剣でムチを思い切り弾いた。
おそらく血が出過ぎているんだ。複数の傷口からダラダラと流れ続け、視界もぼやけてほとんど見えていない。もちろんムチなんて見えていない。偶然当たったのだ。
ほら、エリス。一瞬だ。一瞬だけでも隙が出来ればやれるだろ…?やってくれないかな…?
僕はエリスを見た。エリスはそれを無駄にしまいと真冬の懐に突っ込んでいった。
「ナイスですヨ!立花クン!!」
「くぅぅぅぅっそぉぉぉ!」
「はあぁぁぁぁ!」
エリスは槍で真冬の右肩を思い切りついた。
「ああぁぁぁぁぁあぁぁ!?」
右肩を刺されムチを真冬は落とした。ムチは光に戻って消えて行った。
右肩を押さえて真冬はうずくまって叫んでいた。
「…ハア…ハア…大丈夫ですカ?もう、終わりましたヨ…」
エリスは僕のところに来て、手を差し伸べてくれた。
僕は、というと。真冬のムチを弾いてエリスに託した後、身体が動かずそのまま倒れていた。
「…生きているんだな。僕達。」
「あぁ、お疲れ様だ。凛。」
レヴィとそんな会話をしてエリスの手を取った。勝ったんだ本当に。
エリスの肩を借りて立ち上がる。全く足に力が入らない。
「…そういえば、どうしてエリスがここに…?」
「あぁ、それはです…」
「とんだ誤算だったよ。」
「…!?」
後ろから声がした。驚き振り返るとそこに真冬が右肩を押さえながら立っていた。
先程とは全く違く冷静だ。
「お前ら、俺達を殺さなかったこと。後悔しろよ。」
「な、何を言って…」
「サタン…全部だ。全部寄越せ。」
「了解」
「うぅぅあぁぁぁああああぁぁああああ!!!!!」
真冬が急に苦しみ出す。頭を押さえふらつく。
そして真冬は静まり、身体を起こした。
嫌な予感というやつだ。グワンと雰囲気が変わり鳥肌が立つ。
危険だと本能がいっている。汗が止まらない。
息をすることさえ躊躇ってしまう程に空気が重い。
こいつは真冬なのか…?明らかに先程とは違う空気が流れていた。
真冬はニヤリと笑いこう言った。
「さあ、始めようか。」




