オオカミ
手紙の明後日はすぐに来た。
「凛。行けるな?用心しながら慎重に行けば…」
「勝てる、だろ?大丈夫。やってみせるよ」
部屋で荷物をまとめながらレヴィと話していた。
内心心臓がずっとバクバク言っている。レヴィも僕の身体の一部なので感じ取っているはずだが、何も言ってこない。
死ぬかもしれない。怖い。昨日の夜から震えが止まらない。
でも行かなきゃ…小春が殺される。
覚悟を決めて玄関で靴を履いた。
するとキッチンから母さんが出て来た。
「こんな休みに荷物もなしでおでかけ?」
「ああ、そんなところ」
「そ、いってらしゃい。」
「行ってきます。」
ガチャと音を立ててドアを開いた。
◯◯◯
手紙に記してあった丘の工場跡地。
慎重に中に進むと正面に真冬が椅子に座っていた。
足音で気づいたのか語り始めた。
「ここは昔から秘密基地みたいなものでな。まったく人なんて来ないし、近づかないんだ。なんでだと思う?」
この場にいるのは僕とあいつだけ。つまり僕への問いだろう。
「曰く付き…とかじゃないのか?」
「さあ、答えは俺も分からない。が、昔五人の小学生が一人の女の子をいじめていたらしい。感情を表に出すのが少々苦手な子でね」
「日に日に傷とか増えるものだから家族が問い詰めたんだとさ。女の子はなんでもないの一点張り。気になった女の子のお兄さんは帰り道つけてみることにしたんだ。そしたら、ここで女の子はパシられたり、殴られたり、小学生にはブレーキが効かないからね。それはひどいものだったさ。それを見ていたお兄さんはいじめる人物対象にこの工場跡地で鎖やそこにあるナタでそれはそれはひどい仕返しをしていつのまにか五人全員殺してしまっていたらしい。」
「やっと、妹の屈辱を果たせた、と思っていた。血まみれの身体で手を差しの出たら、その手を弾いて女の子は言いました。」
「化け物。っと」
「結局いじめも止まらなかったし、その男の子は化け物になってしまいました。ちゃんちゃん」
「…お前…」
「そんな顔をしないでくれないか?これは知り合いから聞いた話だ。けど…その化け物は人間になるために見ず知らずの人を殺すらしい、よっ!!!」
「凛!!」
真冬が急に踏み込んできた。凛はレヴィと息と合わせ、右手から剣を出して真冬の拳を防いだ。
「ククク…痛い…ちゃんと武器出せるみたいだね。心置きなく戦える…!」
「…!」
剣で防いだはずの真冬の拳が剣を押し返して来た。
一瞬バランスを崩したがすぐに持ち直し剣を振るった。
が、目の前には真冬の姿がなかった。
…!やばい!どこだ!
「凛!上だ!」
レヴィの指示で僕はすぐに傍に転がった。
間一髪で避けれたみたいだ。
「へえ、やるね。じゃあ俺も本気出そうか。サタン」
「ああ、」
そう言って真冬は左目の眼帯を外した。
眼球にオオカミの紋章。
今回もありがとうございました。次回も楽しみに。




