第27話【創造の森。】
【創造の森。】
私は想うことができる。この広くあまりにも明らかでない宇宙の片隅で。私は様々な物を創造し、構築することができる。想うことは師。
暗い森の中を彷徨う。誰もいない森。月明かりだけが頼りの、闇に沈む静かな森。
私の師は問う。
「何故、夜の森は気味が悪いと思う?」
私は困惑する。
「わかりません。暗く、冷たいからでしょうか?」
師はさらに問う。
「君は木々を生き物だと思うかい?」
私は答える。
「生きているとは思います。ほら、また一つ葉っぱが落ちてきました。ふわり、ふわりと。私の体も、日々細胞が生まれ変わります。ですから、同じ様に生きていると、そう思います。」
師は静かに語る。
「そうだ。生きている。だが、この木々が何かを考え、我々と同じく創造しているとまで意識が及ぶかい?」
また、私は答える。
「いえ、そんな気はしますが、確信を持てません。会話もできませんし。ただ、物質的にも酸素を与えてくれる様に。我々に沢山の物を与えてくれるものではあると思っています。」
姿のない師は、恐らくにこりとして口を開く。
「そう、与えてくれる。その枝を広げた姿は大きな人間にも見えるし、なにより生きるための新鮮な酸素を与えてくれる。人間の出した二酸化炭素を良質な酸素にしてくれるのだ。」
私もにこりとして答える。
「そういう意味では語ることはできずとも、我々は持ちつ持たれつなのですね。」
師は悪戯な空気を纏い問う。
「では、無口な人間をどう感じる?何を考えているかわからないくらい、静かで表情のない人間を。」
私は首を傾げ、少し考えてから答える。
「言い方は悪いかもしれませんが、気味が悪いかもしれません。確かに生きているのに、死んでいる様で・・・。」
師は繰り返す。
「では、何故夜の森は気味が悪い?」
私はまた、困惑する。
「わかりません・・・。」
師は大きく呼吸をして、口を開く。
「それは、夜の森が二酸化炭素を吐くからさ。人間と同じように。呼吸が動物になるからさ。まるで何かを考えているかの様に。そして実際、彼らは何かを考えているのさ。静かに呼吸しながら。だからもし、君の創造が枯渇した時はこの気味の悪い夜の森で恐れ傷つきなさい。そうすれば君の創造の泉は満たされるだろう。痛みの伴わない人の感情、創造に。何かを伝える力はないのだから。」
宇宙の中で、我々は小さな点になるのも難しい。ですが、我々の心の中は時に宇宙をも超える何かになれるのではないかと、そう強く思うのです。