第17話。【世界が教えてくれること。】
魔法はあるのか。どこにあるのか。割と皆の手元にあるのだ。それは例えば金だ。ただの紙切れだが沢山の物や満足に変身できるのだ。ただの紙切れだが人を殺すこともできる。ただの紙切れだが世界を変えることもできる。まさに魔を含んだ紙切れなのだ。
魔法はあるのか。どこにあるのか。割と皆の手元にあるのだ。それは例えば言葉だ。ただの波だが大いなる力や意味をもつのだ。ただの波だが人を救うことができるのだ。ただの波だが世界を動かすこともできるのだ。まさに魔を司る波なのだ。
仕方がないのだ。世界には魔法がある。存在を願う人もいるだろうが、否定してもそれは確かにあるのだ。それによって世界は複雑に素晴らしく、そして恐ろしくできてきたのだ。
心。それはその前にできたのか後にできたのかわからない。おそらく前だろうが。心はそれによって大きく揺さぶられてきた。喜び、怒り、哀しみ、楽しんで、高く空へ、深く海の底へと広がっていったのだ。そして今、それは遠く宇宙の向こうまで広がろうとしている。
シンプルにスカッと生きたいと願う人も多いだろう。それなら、無人島にでも行って野生化するしかないのだ。しかし、それも無理な話だろう。我々は孤独を愛するが、またそれに酷く弱い生き物なのだ。太古の昔にできたこの魔法は、そんな呪いも持ち合わせているのだ。
多くの人が自然的に体得するこの魔法たち。これが普通すぎて魔法だと気づかない人々もいるだろう。だが、考えてみれば人は二本足で立って歩くだけでも恐ろしく難しい事をしているのだ。一見普遍的なことは、その実大変な奇跡におおわれていることは少なくない。
その効力を知ろうとすればわかりやすい言葉と金。せっかく使えることを知った魔法なら、正しく使っていきたい。できれば人や世界にとって素晴らしいものになるように。
昔から、魔法が使えたらいいと考えてきました。でも、実際こうやって持っているものなのだと思います。正しく使えるようにしていきたいものです。