第15話 【鋼鉄のラブレター。】
大事な君へ。
固い意志をここに残そう。どこまでも広がる愛情の証拠を。決してありふれていない僕らの空間を。その想いを。僕はここに残さず記そう。
僕は決めた。僕は決めることができたのです。君を守ると。本当の意味で君を守ると。僕はこのギザギザザラザラとしたハートに、固く尊い決心というものを持たせることができたのです。
思えば君は、僕の世界を随分変えてきた。人の弱さと愛おしさをまじまじと僕に見せつけてくれた。惜しげもなく。君は泣き、傷ついた。横暴であった僕の哲学はおかげで随分と優しくなったと思う。人と接する為の空間や湿気など。そういった物を君は沢山教えてくれた。
だから僕は決心したのだ。君を守ると。
君と結ばれる為に苦心した日々もあった。お互いに大いに悩み、傷をつけあってはなめあう日々もあった。どの距離が僕らの運命か分からずに、随分と想いの荒波にもまれたものだ。
君の涙を拭こうと、器用に生活しようと走る僕もあった。あまり信用を寄せていない神様にも祈った。言葉を探した。理由を探した。そこにはあまりにも輝かしい発見が沢山あり、僕を大人の人間にさせてくれた。
だから僕は決心したのだ。君を守ると。
なんとなく、運命的なものを共有しているのはわかる。事実、僕らは二度も結ばれ、そして離れていった。近い距離では、すぐに互いが見えなくなること。世の中にはこういう運命もあるのだと、誰か偉いお方が教えてくれているかの様に。
かつてはその距離を埋めようと必死に生きた。互いにもがいた。同じタイミングで。
だが、僕にはわかっているのだ。この少し遠い距離こそ、君を愛せる最良のものだと。君が安心して僕に頼り、悩みも苦しみも痛みも僕に預けられるそれなんだと。
だから僕はここでいい。ここから君を見守ろう。どんな汚い話でも耳を貸そう。手を差し伸べよう。
命をかけるだなんて、簡単に使ってはいけない言葉だが、それすらも使おう。
結ばれないというところが、またそれはそれで美しい愛ではないか。
この距離がいい。この距離が一番優しいのだ。君の近くにいると、この決意がこの愛がすぐに熱で溶けてしまうのだ。
この距離がいい。この鋼鉄の想いを君にどっしりと持っていられるこの距離が。
DNAの様な二重螺旋を描きながら、生きよう。
愛している。
愛情・愛というのは、とても盲目なものだと思います。この言葉たちの様な考え・想いもまた、エゴなのでしょうか。勉強中でございます。皆さんの思うところも吐露して頂けると助かります。