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第12話【広がる世界に取り残されるな。】

 空を見上げる。青い空の向こうには、ほとんど真っ暗な世界が延々と続いていて、その世界はまだ広がり続けている。約137億年前に生まれてからずっと、大きな力と折り重なった次元が、押したり引いたりほどけたりしながら。この広さと長さを感じると、ほんの少し孤独を感じる。人間の存在。それはあまりに希少で脆弱な存在だとわかるからだ。


 それ故か、歴史に於いて人は自分の世界を押し広げようとする。戦国時代。コロンブス。アポロ計画。大いなる知識。ミクロ・ナノ。様々な形で、我々は今尚進軍を続けて


いる。知れば知るだけ、孤独ではなくなるかの様に。この広がり続ける世界に、取り残されない様に。




 「この宇宙は、更に加速しながら広がり続けている。決して届くことなどないのだ。決して・・・。」



 そう、届くものではない。それでも人は諦めが悪い。もっとも大きな世界が届かないなら、小さな・・・いや、存在すら危ぶまれる世界を広げようとしているのだ。


 コンピューターである。一つのサーバーが作り上げる広大な世界。人々はその土地を借り、HPや掲示板、自分の分身を作り上げながら仮初の暮らしを送り続ける。そう、ここにはある種際限がないと言っても過言ではないのだ。今も方々の工場では、データやサーバーが引切り無しに作られ続けている。この虚無の空間はどこまでも広がり続け


、技術の向上もあってか加速度的に広がり続けている。そしてそれらは多くの場合、インターネットという道の塊によってリンクされている。


 届かないなら作ってしまう。むろん、その目的で技術が発展していったわけではなく現在の結果から見た世界ではあるのだが。



 「この世界は延々と広がり続けているね。今の自分はどこにいて、その果てはどこにあるのだろう?果たして全てを見ることはできるのかな?」



 考えてきた人間は沢山いることだろう。だが今、逆に自分たちの作った世界が広がり続け、その全てを熟知できなくなってきている。広い世界も、小さいはずの自身らの箱庭も、結局我々にとっては手に余るものなのだ。


 捨てられた犬や猫の様に、誰にも見向きもされない掲示板やHP。パスワードや鍵をつけてしまったため、誰も入れなくなった誰かの嘆きのページ。気づかれない想い。忘れられた絵。そう言ったガラクタたちが、小さな空間で浮遊し続けている。


 

 そして、最近ではコンピューターのAI機能(人工知能機能)なども増えてきている。つまりは、コンピューターの中に作られた個体などが、自身の経験や意思で活動する機能である。よくハリウッド映画などで恐怖の対象にされるので記憶に新しい人も多いであろう。今はまだ単純な機能かもしれない。だが、この広がり続ける世界の中でこの機能を持ったものたちが暴れ出すことも、容易に考えられることだ。この世界は繋がっているのだから。



 想像してほしい。そのAIたちが徐々に進化し、様々な経験を経てコンピューター上で遺伝子の様なものを作り上げ、増殖したり殺し合いをしたり、協力したり愛し合ったりしながら時間を進めていく。そしていつしか我々が作り上げてきた小さいながら広大な世界の中で思うのだ。



「この世界は延々と広がり続けているね。今の自分はどこにいて、その果てはどこにあるのだろう?果たして全てを見ることはできるのかな?」



 まるで我々の様に。そしてその果てを目指そうとうごめき始めるかもしれない。それがただの旅なら夢のあるお話かもしれない。だが、我々のコンピューター世界を壊しかねない侵略行為をするのならば、我々もそれに対抗せねばならない。例えばこの世界で大量に人が死滅してしまうインフルエンザの様な病原菌であったり、強力な爆発物を使った破壊行為でもよいだろう。あるいはその時間その物を止めるために、電源を切ってしまってもいいかもしれない。

 今はペットや自分の分身の様に可愛がっているAI機能も、目に余るような状況になった時の対策は考えなければならないのだ。彼らがあまりに遠くを見つめないよう。我々の歴史の様に侵略を目論まないよう、我々は監視していかなければならない。


 おっと、今まさにそれを目論んでいるものが近くにいやしないか?さあ、電源を切れ!切るのだ!!



 プツンッ・・・。



 もしかしたら、その瞬間に消されるのは我々の世界かもしれない。我々が何かの箱庭の中で活動していないと、そう言い切ることはできないのだから。

 仕方がない。世界は広がっている・・・と、かの天才アインシュタインが言ったとか言わなかったとか。

 インターネットのカオスで膨大な世界って、この世界に似てるな・・・と思う今日この頃です。皆さんはどう思われますか?

 そのうち、どこぞの天才科学者が言うかも知れません。

「仕方がない。世界は誰かの箱の中にある。」なんて・・・。

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