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第1話【赤いダイヤ】

 とある人、あるいは物から見た世界を一話読み切りにてお送りしております。皆様の目に、もう一つの目を加えていただいたり。あるいは何かをお探し中の地図がわりにしていただけたら幸いです。想うところがあれば感想などを頂けたら、非常に喜びます。よろしくお願い致します。

その美しいダイヤは、深い赤。長い歴史の中で、様々な所有者の血によって赤く染められた・・・そんな想像に直結するような深い赤。凛とし、触れるのも躊躇われるその姿は人々を魅了する。


 ゴシップも流れる。呪いのダイヤだ。血塗られた歴史だ。あれの所有者は不幸になると。


 だが、私は知っている。彼女には意志があって、彼女自身が所有者を選びながら旅をしているのだ。信じられない?それでいい。ただ、それは彼女にとってあまりに自然な側面に過ぎない。それだけの話なのだ。


 ヒロイックな彼女は、所有者たちのもとで自身の血を流す。それを感じた人々は、より彼女に魅かれ自ら血を流し始める。それでも彼女は飽きれば去っていく。それも自然なこと。すべての人々は、彼女の中の登場人物に過ぎないのだ。


 最初にその価値に気付き、彼女を手にしたその時から、私はずっと生き続け、演じ続けている。最初は彼女を慕う恋人。そしてそれは愛人になり。時には彼女を奪い去る盗人。彼女の歴史をライトアップする予言者。傷ついた彼女を手当てする医師。再会した恋人。


 ただ、最初に彼女が見せた透明な涙が忘れられなくて。その感情の嵐にまた身を委ねたくて私はここにいる。これからまた、何百年。何千年と。彼女のストーリーの中で立派に演じ続けるのだろう。あの、もう決して見られない、本物の涙を見るまでは。


 まさしく半永久的な彼女の美貌の前で、時間や金銭の価値の無さと言ったら・・・。

いかがでしたでしょうか?この空間に散りばめられた何かを感じ取っていただけたら幸いです。できうる限り毎週一話更新する予定ですのでよろしくお願いいたします。

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