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11月13日 キセキ

 今日があるのはキセキだろうか?俺は昨日の出来事を振り返りながらそう思っていた。


 ー11月12日ー


 やっぱり、あいつらといたら大変だな。山﨑は大丈夫なのか?さっきまで追いかけてきた奴らもいなくなり一安心していた。すると、古びた倉庫の扉がきしみながら開いたようだった。突然、背後から冷たい鋼の感触が俺の背中に伝わった。振り向く暇もなく、鋭い声が耳に突き刺さる。"動くな!!"。何もしようがない。ん?一瞬何が起きているのかがわからなかった。不良の声は、ただただ冷徹だった。一瞬、不良たちから目を逸らしたのが原因だったようだ。よく見ると薄暗い空間に佇む不良が一人いた。


 男 「おい!!」


 不良の手には銃が握られている。ヤバいな、この状況。銃を持っているというのに全く震えていない。

 

 男 「誰だてめぇ?」


 不良のの目は暗闇ということもあり、全然わからない。俺の呼吸は荒く心臓に胸を当てても全くおさまらない。「こんなはずじゃなかったのにな……」。どうすることもできず、ただただ呆然としていた。


 俺 「遠藤だ」

 男 「何者だ?」


 ここは、何ていうのが正解なのだろうか?この状況ということもあり唇が乾いてしまっていた。  


 俺 「高校生だ」

 男 「どこの?」

 俺 「淮南だ」


 男はピンときていないみたい。幸い、不良はただ一人だ。目は血走っているが、衝動的に動くタイプではないみたいだ。ただコイツの表情には迷いがない。不審者だと思われたら確実に消される。


 男 「何でここに来た?」

 俺 「たまたま通りかかったんだ」

 男 「たまたまねぇ、、、、、、」


 全く銃を放す気配はない。さらに俺との距離を縮めて、背中に強く銃口を強くつきつける。


 男 「なぁ、、、、、」


 何も言えないというのはこういうことか。俺は動揺して立ちすくんでいた。


 男 「これがラストチャンスだ」

 

 どうするのが正解なのか?ここで、全てを言って大丈夫なのか?


 俺 「ある男とここまで来ていたんだ」

 男 「それは誰だ?」


 すまない、、、、、。そう思い山﨑の名前を差し出した。しかし、男はまったくわからないようだ。徐々に銃口が俺の背中から遠のいていくのがわかった。


 男 「なら、取引だ」

 俺 「取引?」

 男 「ああ。それができるなら許してやる」


 どうやら、救いの手が差し伸べられたようだった。

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