11月7日 佐藤彌生
解散。この言葉は、妙に納得感があった。一度集まった俺たちの解散はあっという間だ。俺は、学校にすら来てないというザマだ。別に行きたくないとかはなかったけど、なんか行く気すら湧いてこないというのが本音だった。このまま、なんとなく学校に行くことに意味がもてないでいた。あぁ、なんだろうな。このよくわからない気持ちは。そう言えば、山下たちは、何をしているのだろうか?おそらく、山下も学校に行っていても他の奴らとは会っていない気がする。宝来や東藤たちと会っているのとも考えられる。そんなことを考えていると、スマホが光っているのがわかった。すぐさま、タップしマイクをオンにする。"もしもし"。
スマホの中から、甲高い声が聞こえる。電話の主は、佐藤だった。
俺 「どうした?」
佐藤「今日、何してんの?」
俺 「えっ、別に何もしてないけど」
学校にいないことを正当化していた。
佐藤「お前、学校休んでんだろ」
俺 「ああ」
佐藤は違うクラスなのに。なんで、知ってんだろうか?俺たちは、集まっていないからわかるはずかないのにな。
佐藤「お前が休んでるから、谷口サッカーしてくれないんだよ」
俺 「そんなのしるかよ」
佐藤「いやいや、俺にとってサッカーは大事だからな」
俺 「お前は、受験生だろ!勉強しとけよ」
スマホからは、笑い声が聞こえてきた。
佐藤「いやー、それがさぁ」
何かあったようだ。
俺 「なんだよ?」
佐藤「受験しようと思ってたんだけど、親が倒れてさ」
俺 「えっ?」
思わず聞き返してしまった。
佐藤「親が倒れて、受験勉強どころじゃなくなったんだよ」
俺 「まじかよ」
佐藤「ああ、そうなんだよな」
佐藤のことを考えると、あんまり上手い言葉が見つからない。
俺 「じゃあ、受験しないのか?」
佐藤「うーん、、、、、、、、」
俺 「まだ、時間あるんだしギリギリまで考えてみればいいんじゃない?」
少しテンションが下がっているように思えた。
佐藤「まぁ、そうなんだけどさ。なんかもう、モチベーション下がってしまってるんだよ」
俺 「なるほどな」
たしかに、ずっと野球をしてきて、勉強を夏からやり始めているのに急に大学に行けないってなるとな。そりゃあ、気持ちが下がってしまうのも理解できる。ただ、それで変わるくらいなら、それまでか。




