11月5日 ジワジワ
宝来がなんであんなにつよいのか俺にはわからない。けど、みんなから噂されているだけある。宝来は、サッカー部としてだけでなく、ヤンチャでも有名だった。『fours』の中でも、一番強かった気がする。ヤバい。俺は、もう、ふらついてしまっている。俺の見せ場すらなかった。右に左に、宝来の攻撃は避ける隙がない。あんなに凄いのか?あれは、まるで、ボクシング部だろう。
俺が弱いのか?アイツが強すぎるのか?けど、ここで負けたら、もう山下とは戦えない。俺は、自分に言い聞かせた。負けたくない、負けたくない。俺は、山下にとってどういう存在なのだろうか?こんな危険な中、考えてしまった。負ける俺をアイツはどう思うのか?ちゃんと慕ってくれるのだろうか?自分の中で、まだリーダーでありたいと思っていることに驚いてしまった。
宝来「もう、限界か?」
俺 「まだまだだよ」
偉そうに言ってはいるが、もう体がついてこない。
宝来「じゃあ、早く来いよ」
俺 「行くよ、言われなくても」
宝来の挑発にすらのれない。なんて言うことだろうか?
宝来「悪いけど、許してくれ」
俺 「何を?」
俺は、片目で必死に宝来を見つめた。
宝来「俺、この前見たんだよ」
俺 「何を?」
余裕のあらわれなのか、語り始めた。リングのロープを持ちながら、話をしている。それが夢なのかなんなのかはわからない。
宝来「お前は、誰かを本気で倒したいと思ったことがあるのか?」
そんなことあるわけがない。
宝来「ないだろ?俺は、本気で倒したいと思うやつしかいない」
倒したいやつってなんなんだよ。何がしたいんだよ?
宝来「さぁ、そろそろ決着つけるか」
ここだ。さっきの宝来の語り中に蓄えた力を宝来にぶつけた。たしかに、コイツは強い。でも、俺は油断なんてない。宝来の顔面ではなく、腹に入れていく。宝来もすぐさま攻撃をしてくるが、俺はその攻撃を受けながら攻撃をし続けた。宝来からの攻撃の痛みを受け続けるも、負けずと殴り続けた。宝来もなんとか攻撃を守ろうとしている。俺たちは、言葉が交わさずともお互いの拳と拳で伝えたいことを伝えていた。きた!宝来がよろけた瞬間、すぐさま顔面に攻撃を入れる。このままならいける!俺は、一気にたたみかけた。弱い力ではあるが、立て続けに攻撃をしかける。ゆっくりジワジワ、宝来に聞いている気がしてのだった。




