11月4日 退屈
やっぱり授業は、退屈だな。俺は、昨日ずっと遊んでいたからロクに寝れていなかった。先生が問題を解説しているということもあり、静かな空気が漂っていた。俺の斜め前にいる生徒は、とても真剣な表情でノートを写しているようだった。教壇に立つ先生は、話しながら時折、黒板にチョークで字を書いたり、パワーポイントで映像を見せていた。先生の文字は、とても美しかった。昔、山下に言われたことがある。字は、その人を表すと。
俺が書いた字は、キレイとは言い難い文字だった。自分の書いた文字に映る字を見ながら、なんとも言えない気持ちになっていた。まぁ、勉強しないからいいか。仕方ないな。俺は、諦めながら先生の授業を聞いていた。すると、俺の横にいた柏木が当たった。真剣な眼差しで答えていた。勉強もできてスポーツもできる。もう少し顔がカッコよければさらに凄いのにな。俺は、柏木の顔を見つめていた。高校3のこの時期って、みんな進路のことを考えるんだろうな。俺は、別に進路に対しても、この先の人生に対しても興味がないからどうなってもいいかなと思っていた。
どうせ、みんなことは考えてないんだろうな。でも、俺はみんなと違う。高校3年生が俺にとって終わりなんだ。そこまでいかに楽しく過ごせるかそれの方が大事だった。たとえ、みんなが就職や進学しても変わらない信念だった。それを知っているのは山下ただ一人。他の3人や柏木たちクラスのメンバーは知らない。それは、別に言いたくないわけじゃないけど、言ったらアイツらが俺に合わせてくれるかもしらないんだ。アイツらは、アイツらで頑張ればいい、それが俺の持論だった。山下がどうなのかは、知らないけどアイツはいつもフラットに俺に関わってくれる。それが心地いい。
もう11月。残り3ヶ月ちょっとの学校生活を毎日楽しむためには、この授業をどう受けるか。それが大事だった。先生は、一生懸命、国語の問題を解説していた。高校の現代文は、とても複雑な表現が多かった。日常生活では使わないような言葉も多く、やる意味が理解できなかった。柏木や水城たちは、明確に行きたい大学があるらしい。目標があるやつの真剣さは凄いな。すると、スマホに連絡が来ているのがわかった。誰だろうか?机の下でスマホを触ると、そこには"宝来海斗"と記されていた。宝来と連絡先を交換したのは、この前会った時だった。なんできたのだろうか?




