11月2日 本気
次の試合は、5日。昨日、なんとか勝ったけど、やっぱりケンカとかボクシングは、俺に向いていないことを再認識させられた。
山下「痛くないか?」
俺 「いや、もう体がボロボロだよ」
体のいたるところにアザができ、俺は、歩くので精一杯だった。
山下「あんな体はったお前を見たのは始めてだよ」
俺 「そうか?」
山下がそう思っているなんて知らなかった。
山下「ああ。いつも、お前は遠くから見てるからな」
俺 「そんな印象なのか?」
山下から、俺はスカして見えるのか?山下の方がスカしているように見えるけどな。
山下「そうだよ。ただ、この前のお前は嫌いじゃなかったよ」
俺 「なんだよ、それ」
山下「まぁ、この前のお前みたいに次も勝てよ」
次の試合は、宝来と俺の試合になっていた。山下と俺が友だちという理由から俺たちが戦うことはなくなった。
俺 「そんな簡単に言うなよ」
山下「簡単じゃないよ」
山下は、何を考えているのだろうか?
俺 「もし、俺が宝来に勝ったら、覚悟しとけよ」
宝来に勝てるイメージはまったくない。でも、負けたくはない。
山下「ハハハハ。その時は、どうするんだ?」
俺 「そりゃあ、本気でいくに決まってるだろ?」
山下「本気ねぇ」
山下と俺が本気で戦ったらちゃんとなるのか?
俺 「俺は、本気でお前を殴るけど、お前は殴れるのか?」
山下「目的があれば、なんでもできるよ」
山下の眼には嘘はなかった。コイツは、ホントになんでもしてきそうだった。
俺 「そりゃあ、凄いな」
山下「お前は、どうなんだ?」
なんかあるのだろうか。俺は、少し間をおいた。
俺 「そうだな、、、、、。お前に勝ったらなんかあるのか?」
山下「奢ってやるよ」
俺 「それだけかよ」
思わずツッコンでしまった。
山下「ハハハハ」
俺 「お前に勝っても意味ねぇじゃねぇかよ」
山下「だな」
本気でコイツとやり合う時は、絶交する時ぐらいだろうな。
俺 「宝来に勝ったら、アイツらに言うか」
山下「谷口とか?」
俺たちがよく絡んでいたメンバーに言ったら、めちゃくちゃ面倒さいのが見てとれる。
俺 「ああ。嫌か?」
山下「嫌じゃねぇけど」
俺 「いろいろ言われそうだな」
どっちにしろ宝来に勝たないと、この考えは意味がない。




