11月1日 遠藤江vs東藤蒼(第3試合)
今日から11月。また、新しい気持ちで迎えることができていた。大学も就職もどちらも決めれない自分が嫌だった。
ー10月30日ー
あっという間だった。俺の試合が来るまで。もっと時間がかかるのかと思ったけど。宝来と三上の試合の熱気がまだ残っている。東藤がゆっくり右手を伸ばしたことを見て、俺も右手を差し出した。グローブ同士が触れ合い、俺たちの試合が開始した。東藤は、始まってすぐにダッシュを行い、俺との距離をつめる。そして、素早いパンチを繰り出してきた。いきなりかぁ。俺は、避けながら後ろへ下がっていく。やべぇ、もう少しでリングだ。鋭いパンチが俺の顎をかすった瞬間、すぐに身をよじらせた。ヤバいな。ここのままだったら、すぐ終わる。すぐに体勢を整え、逆に強烈なカウンターパンチを放つ。
しかし、東藤は綺麗に俺のパンチをよける。くそぉ。そして、東藤は、パンチ、フックと連続して攻撃してくる。なんとかよけるけど、本当にギリギリだ。こんなの当たったら、大変だ。すると、東藤はアッパーカットを繰り出してきた。こんなボクサーみたいな攻撃してくるなよ。俺は、東藤の激しい攻撃から逃げ回っていることもあり、いつの間にか息を荒げている。再びリングの端に追い込まれていたこともあり、立ち止まり迎え撃つしかなかった。東藤は、俺を思いっきり睨みつけ、そのまま俺の顔面にパンチを打ち続けた。右、左、右、左。顔が左に動くと次に右に、そしてまた左へと。
容赦ねぇな。コイツ。さっきまでの自信はどこにいったのだろうか?自分で自分が信じられなくなっていた。東藤の連続して繰り出される攻撃に、第1試合と第2試合で勝った山下と宝来が声を出していた。俺と東藤では、技術が違う。ただ、俺は負けられないんだ。俺のメンタルは、まだ負けていなかった。コイツなんかに、勝ちを譲ってたまるかよ。俺は、顔面の痛みを抑えながら再び反撃に出た。今がチャンスだ。一瞬空いたチャンスに俺は全てをかけた。強烈なパンチを東藤のひたいを目がけて放ったのだ。東藤は、体がよろけてしまうと、ゆっくり崩れてしまう。まさか、、、、、、、、、、、、。こんな風な展開は全く想像していなかった。東藤は、ノックダウンしたのだった。その瞬間、宝来からタオルが投げ込まれたのだ。俺の顔からは、汗と血が入り乱れ、何なのかがよくわかっていない。わかったのは俺が勝ったということだけだった。




