9月7日 山﨑嶺埜
俺たちは、いつものように昼休憩の時に集まっていた。あの山﨑が言っていたことは、なんだったんだろうか?自分でもよくわからずにいた。谷口や村田たちもあの日のことを深く聞いてくることは、なかった。
それでも、ひっかかかるんだよな。結局、あの日、俺たちは戸田たちと共に夜まで行動した。でも、お目当ての後輩を見つけることはできなかった。
まぁ、コイツらがなんとも思わないんだったらいいかとも思った。ただ、あの場にいた山下は、納得いっていないだろうな。俺と戻ってきた次の日からも、ずっと山﨑を追っていた。たしかアイツは、6組だったよな。
俺は、サッカーボールをとるついでに6組に寄っていくことにした。サッカー部の牧野からボールを借りて、まっすぐ歩いた。ここかぁ。廊下から見ると、この教室は、とても静かだった。山﨑、山﨑、、、、、、、。どこだ?30人以上いると、簡単に見つけるのは難しい。
「よっ!!」。後ろから声が聞こえた。振り向いた先には、4組の水城が立っていた。相変わらず、長身だな。俺は、明らかに見下ろされていた。俺が、軽く挨拶をすると、水城は、去っていた。すると、後ろの方に山﨑らしい人物が見つかった。問題は、どうやって声をかけるか?
俺は、廊下から山﨑を見ながらどうしよか悩んでいた。サッカーボールもあるし、モタモタしていると、山下に勘ぐられる。俺は、サッカーボールを持ったまま、クラスに入っていった。7.8人の視線が俺の方に向いた。俺は、気づいていないフリをして山﨑へ近づく。山﨑は、5mくらいで俺が来たことに気づいたみたいだ。
山﨑「なんか、よう?」
読んだところまでがわかるよう、本を伏せて俺に話しかけてきた。
俺 「ああ。この前のことが気になってな」
顔色一つ変えず、俺を見つめてきた。
山﨑「わかった?」
ロボットの様に聞いてきた?
俺 「まったく。どういうことか教えてよ」
山﨑「それは、無理だ。これ以上言えねぇんだ」
伏せていた本をとり、しおりを本に挟みこんだ。
俺 「なんでだ?」
山﨑「それ以上聞いても、俺は同じ返答しかない」
山﨑の言葉には強い感情を感じた。
俺 「‥‥」
机の上に置いた本をとり、立ち上がった。
山﨑「じゃあな!」
そう俺に告げて、本を持ちながらクラスへと出ていった。相変わらず読めない男だ。